【2026年】保険業界に応募する時の面接で役に立つ基礎知識

損害保険業界や生命保険業界といった保険業界を志望する人が面接を受けるにあたって必ず知っておいたほうが良い基礎知識があります。
これらの知識を持っていないと、面接での受け答えができません。特に志望動機を答えるさいにこれらの知識がないと、入社への本気度が伝わりません。
この記事では、保険業界に応募する人が面接で困らないための基礎知識を紹介します。
ぜひこの記事を読んで、あなたの就活や転職の面接に役立ててください。
損害保険業界とはどのような業界なのか
損害保険は契約者が偶然の事故やトラブルにあったときに生じる損失をカバーする保険です。支払い額は、損害額に応じて変わります。これを実損てん補といいます。
契約期間は一般的に短いことが特徴です。
個人向けには、自動車保険、傷害保険、火災保険、地震保険、旅行保険などがあります。
一方、法人向けには火災保険、賠償責任保険、貨物・輸送の保険など業種独特のリスクをカバーする様々な種類の保険があります。
また、マリン分野とノンマリン分野といった分け方もあります。
マリン分野とは、船舶保険、貨物海上保険、運送保険を指します。一方、ノンマリン分野とはマリン保険を除く、自動車保険、火災保険などを指します。
損害保険は掛け捨て型の商品が多いので収益力が高く、損害保険業界は他の金融業界と比較し経営が安定しています。一方で、景気はもちろん自然災害の発生状況により収益が大きく左右されることもあります。
損害保険会社は保険商品をつくりますが、販売は代理店が担うかたちとなっています。
主力は保険料収入の半分近くを占める自動車保険です。
近年は、自動車保険などは代理店を通さずにネットで割安の直販を行う企業が勢力を伸ばしており、大手損害保険会社はシェアを奪われているのが現状です。
大手損害保険会社では、インターネットやコールセンターを活用したサービスの多様化、充実化がカギをにぎっています。
国内市場の成長が見込めないなか、損害保険各社は欧米で現地保険会社を買収するなど、積極的に海外進出を行っています。
海外事業の収益が国内収益を上回っている企業もあります。
今後は保険需要が拡大するアジアなどの新興国への展開も進めていくことが予想されます。
また、国内では住宅リフォームや介護施設運営会社など異業種との連携を強化する動きもあります。
面接で志望動機を語るとき、損害保険業界とはどのような業界なのか知っていることが大切です。
損害保険業界の環境と課題
- 損害保険大手の業績は堅調に推移しています。大手3グループ(東京海上HD・MS&ADインシュアランスグループHD・SOMPOHD)の2025年3月期の連結純利益合計は前期比4.7%増の2兆1,698億円でした。
政策保有株の売却や債券の運用など資産運用事業がけん引し、3グループの同事業の利益合計は5年で4倍となりました。ですが、国内の保険事業は伸び悩んでおり、運用頼みが鮮明になっています。
世界的な異常気象による自然災害の多発で保険金支払いが増え、損害保険各社の本業の収益は厳しさを増しています。損保会社が23年度に支払った火災保険の保険金総額は9,727億円と、10年前に比べ45%増えました。(日本損害保険協会)
25年3月期の大手4社の本業のもうけを示す保険引受利益は1,130億円と前期比24%減となり、ピークの2017年3月期(3,497億円)の3分の1以下となりました。
火災保険は自然災害が平年より少なかったことから、3グループ全体で赤字幅が縮小したものの、15年連続で赤字でした。自動車保険は事故車の修理代上昇など響きました。(日経コンパス 2025年8月)
- 物価上昇による修理費用・部品代の高騰、事故件数の増加、自然災害の増加などを背景に、自動車保険料が引き上げられています。2025年1月には大手3社が平均3.5~5%の値上げを発表し、その後も東京海上日動など一部の保険会社では年2回の異例の値上げも行われています。
将来的には自動運転技術が普及することもあり、自動車保険市場は緩やかな縮小が予想されています。
損害保険各社は脱自動車保険に向けて自転車保険や特約、新商品の販売や開発をしています。サイバー保険やネット炎上保険など、企業に向けた新種保険の開発も行われています。
- デジタル技術の進化に伴い、オンラインでの加入が可能なデジタル保険商品が増加しています。スマートフォンやパソコンを通じて契約できる利便性の高いサービスが、特に若年層や働き盛り世代の需要を喚起しています。
- 損害保険業界では、少子高齢化の進展や人口減少による国内市場の縮小が課題であり、こうした状況を受けて、大手各社は海外展開を進めています。
海外市場への進出や海外の保険会社とのM&A(合併・買収)を通じて市場を拡大しようとしています。
- 損害保険業界では、3メガ損保(東京海上HD・MS&ADインシュアランスグループHD・SOMPOHD)が収入保険料の約8割を占めており、寡占状態が続いています。
人口減少などにより国内市場が縮小する中、合併によって効率化を進め、収益力を高めることを目的として、同じMS&ADグループである三井住友海上と、あいおいニッセイ同和は2027年4月を目途に合併を検討しています。
以上のような損害保険業界をとりまく環境と課題について知っているとグループディスカッションや面接での質問に役に立ちます。
例えば面接で「当社が成長するためにどのような対策をとれば良いと考えますか?」といった質問をされることがあります。
損害保険業界の仕事
業務内容は法人向けと個人向けがあります。
営業部門の仕事には、営業、営業事務、契約査定、契約事務、代理店教育やサポートなどの仕事があります。
保険商品の販売は代理店を通じて行っていますので、営業の仕事の中心は代理店教育やサポート業務です。
一方、損害サービス部門として事故やトラブルなどにより契約者が保険の請求をした場合には、損害調査、事故の相手との示談交渉サポート、保険金支払いなどの仕事があります。
以上については、自社商品の深い知識や顧客のニーズに応じた対応が必要であり、交渉力や説得力などの高いコミュニケーションスキルが求められます。
その他、専門職としては、新しい保険商品の開発、経営戦略、資産運用、法務、海外市場開拓などの仕事があります。
損害保険業界ではどのような仕事があるのか、仕事内容をしっかり理解していることが志望動機を答えるときに重要です。また、事前に充分把握していると面接で希望する仕事を訊かれたときに役に立ちます。
生命保険業界とはどのような業界なのか
生命保険は契約者の生命に関わる経済的な困難を保障する保険です。
死亡や病気、けがなどをした際、契約時に定めた金額を、保険金や給付金として受取人に支払います。これを定額給付といいます。
生命保険には、被保険者が亡くなった場合に残された遺族に支払う死亡保険、けが、病気で入院、通院が必要となったとき医療費の一定部分を支払う医療保険やがん保険、介護保険、資産形成のための年金保険や学資保険などがあります。
日本の生命保険の加入率は90%近くあり、世界的にも非常に高い水準といえます。
契約期間は一生涯にわたるものなど、長期のものが一般的です。そのため商品設計やリスク管理、契約者へのアフターフォローなど高い商品品質が求められます。
保険商品の販売は、営業職員による対面販売、インターネットや直営店舗を通じた直接販売、保険代理店や来店型の保険ショップなどがあります。
大手保険会社はこれまで対面販売を中心に営業活動を行ってきましたが、近ごろは銀行等の金融機関の窓口販売、保険ショップでの販売、インターネット販売など販売チャネルが多様化しています。
また、アジア各国の経済発展に伴い、生命保険の普及が進むことが予想されており、アジア地域への展開を図っています。アメリカ、オーストラリアなどの保険会社・事業を買収する動きもあります。
損害保険業界が3つの大手企業グループに集約されているのに対して、生命保険業界は多くの企業があり、今後企業再編に進む可能性があります。
面接で志望動機を語るとき、生命保険業界とはどのような業界なのか知っていることが大切です。
生命保険業界の環境と課題
- 大手・中堅生命保険会社9社の2024年度の保険料等収入は15兆1,600億円と前期比4.9%減でした。
国内株価は関税の問題など米国の状況の不透明感から年度末にかけて下落し、日銀の政策金利の段階的引き上げによる10年国債金利の上昇、前期比の為替の円高などにより有価証券の含み益は11.8兆円の大幅な減少となりました。
一方、本業のもうけを示す基礎利益は2兆5,166億円と前期比21%増加しました。比較的高い金利と円安により、外国債券利息が増加したこと、あるいは国内の株式配当金が増加したことによるものと推測されます。(ニッセイ基礎研究所)
- 生命保険会社は、安全性を重視した運用を義務付けられており、運用の主軸は株式、外国証券より公社債で、主に国債です。
ところが、日銀の長引く金融緩和策によって、国債の利回りが著しく低下しており、運用のメインである国債で利益を出すことが難しく、生命保険業界は苦しんでいます。
そのため生命保険各社は、償還期限を迎えた国債を外債に充てることや、ESG債など新規分野への投資比率を高めることで対応しています。
また、保険料を決める基準となる「標準生命表」の改定が2018年に行われ、その結果保険料の引き下げが行われていて、その「収入減」と「運用益減」の二重の痛手を受けています。
こうした状況から、長引く低金利の下では予定利率の維持が厳しいとして、企業年金保険の利率の引き下げの動きが始まりました。
- 生命保険業界では団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」や、団塊ジュニアが60歳以上となり、団塊世代の死亡数が増える「2035年問題」が懸念されています。
少子高齢化や人口減少が進むことで、保険金の支払が増加する一方、契約者は減少するという厳しい状況が予想さ、さらに、昨今の「若年層の保険離れ」も問題となっています。
少子高齢化と人口減少による競争激化に備え、生命保険会社の収益源を多角化するため、従来の保険領域に加え、ヘルスケアや福利厚生といった非保険分野の事業者との買収・提携が加速しています。
また、低金利の影響を受けにくい「保障性商品」や「外貨建て保険商品」、保険者の健康への取り組みによって保険料が変わる「健康増進型保険」の開発などにも力を注いでいます。
- 「生保レディー」と呼ばれる営業職員の獲得は高齢化や人手不足で難しくなり、代理店網の拡充を急いでいます。
日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命の大手4社を合わせた23年度末時点の営業職員総数は15万3,427人と、2011年度末以降で最少となりました。ピーク時の2020年度末には17万人以上が在籍していました。
人手不足が強まるなか、各社は営業職員の定着率を高めようと、待遇改善に力を入れています。日本生命は営業職員の賃金を24年度7%程度、25年度に平均6%程度引き上げました。
大手生保会社も同様の動きを見せています。企業買収や資産運用など専門性の高い人材を確保するために、中途採用も強化しています。(日本経済新聞)
- 生命保険のデジタルトランスフォーメーション(DX)化への取り組みが進んでいます。
顧客ニーズをリアルタイムで吸い上げることで、ニーズに合わせたサービスやプランの提供が可能となります。
デジタルチャネルやオンラインプラットフォームを活用することで、より利便性の高いサービスを提供できることができます。顧客に対する利便性向上にもなります。
顧客情報などをデータ管理することで、高齢者向け商品の開発や提供に結びつけることもできます。
一方、DXを利用することで加入手続きや事務処理を自動化することができ、業務効率のアップにも繋げることができます。
このような理由から保険のDX化は急速に進むものと考えられます。
以上のような生命保険業界をとりまく環境について知っていると、グループディスカッションや面接での質問に役に立ちます。
例えば面接で「少子高齢化の中で当社が生き残るためには、どのような対策をとれば良いと考えますか?」といった質問をされることがあります。
生命保険業界の仕事
営業部門の業務内容は法人向けと個人向け、代理店向けがあります。
個人営業は、新規契約獲得とアフターファローを行います。
法人営業は、団体保険や、企業年金といった保険商品やサービスを提供します。
代理店営業は、代理店に対する教育やサポートなどの仕事を行います。
以上については、自社商品の深い知識や顧客のニーズに応じた対応が必要であり、交渉力や説得力などの高いコミュニケーションスキルが求められます。
一方、保険引受(アンダーライティング)という、保険契約時とその後の管理を行う業務があります。新規契約審査、管理、保険金支払いの業務です。
その他の専門職では、生命保険会社の重要な業務として保険料の資産運用があり、新しい保険商品の開発、経営戦略、法務、海外市場開拓などの仕事があります。
生命保険業界ではどのような仕事があるのか、仕事内容をしっかり理解していることが志望動機を答えるときに重要です。また、事前に充分把握していると面接で希望する仕事を訊かれたときに役に立ちます。
まとめ
保険業界各社に応募する人は、業界をとりまく環境と課題を理解しておいて、面接での志望動機を語る際などに役立ててください。
また、面接官からの質問に答えるときにも、本記事で紹介したような知識が大切になります。
この他にも業界の知識を積極的に吸収しましょう。
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保険各社の具体的な面接対策については以下の記事を参考にしてください。