【2025年】保険業界に応募する時の面接で役に立つ基礎知識
損害保険業界や生命保険業界といった保険業界を志望する人が面接を受けるにあたって必ず知っておいたほうが良い基礎知識があります。
これらの知識を持っていないと、面接での受け答えができません。特に志望動機を答えるさいにこれらの知識がないと、入社への本気度が伝わりません。
この記事では、保険業界に応募する人が面接で困らないための基礎知識を紹介します。
ぜひこの記事を読んで、あなたの就活や転職の面接に役立ててください。
損害保険業界とはどのような業界なのか
損害保険は契約者が偶然の事故やトラブルにあったときに生じる損失をカバーする保険です。支払い額は、損害額に応じて変わります。これを実損てん補といいます。
契約期間は一般的に短いことが特徴です。
個人向けには、自動車保険、傷害保険、火災保険、地震保険、旅行保険などがあります。
一方、法人向けには火災保険、賠償責任保険、貨物・輸送の保険など業種独特のリスクをカバーする様々な種類の保険があります。
また、マリン分野とノンマリン分野といった分け方もあります。
マリン分野とは、船舶保険、貨物海上保険、運送保険を指します。一方、ノンマリン分野とはマリン保険を除く、自動車保険、火災保険などを指します。
損害保険は掛け捨て型の商品が多いので収益力が高く、損害保険業界は他の金融業界と比較し経営が安定しています。一方で、景気はもちろん自然災害の発生状況により収益が大きく左右されることもあります。
損害保険会社は保険商品をつくりますが、販売は代理店が担うかたちとなっています。
主力は保険料収入の半分近くを占める自動車保険です。
近年は、自動車保険などは代理店を通さずにネットで割安の直販を行う企業が勢力を伸ばしており、大手損害保険会社はシェアを奪われているのが現状です。
大手損害保険会社では、インターネットやコールセンターを活用したサービスの多様化、充実化がカギをにぎっています。
国内市場の成長が見込めないなか、損害保険各社は欧米で現地保険会社を買収するなど、積極的に海外進出を行っています。
海外事業の収益が国内収益を上回っている企業もあります。
今後は保険需要が拡大するアジアなどの新興国への展開も進めていくことが予想されます。
また、国内では住宅リフォームや介護施設運営会社など異業種との連携を強化する動きもあります。
面接で志望動機を語るとき、損害保険業界とはどのような業界なのか知っていることが大切です。
損害保険業界の環境と課題
- 損害保険大手の業績は堅調に推移しています。大手3グループ(東京海上HD・MS&ADインシュアランスグループHD・SOMPOHD)の2024年3月期の連結純利益合計は前期比2.3倍の1兆4,800億円でした。
海外事業が好調だったほか、株高で政策保有株式の売却益が膨らみ、3社とも過去最高益を更新しました。ですが、火災保険が14年連続の赤字、自動車保険の引受利益が半減するなど本業は苦戦が続いています。
近年の世界的な異常気象による自然災害の多発で保険金支払いが増え、損害保険各社の収益は厳しさを増しています。2024年3月期の大手3グループの本業のもうけを示す保険引受利益の合計は1,496億円で、前期の1.8倍となったものの、直近でピークの17年3月期の3,497億円に比べて半分以下の水準となっています。
- 自動車の安全性能の向上に伴う事故の減少により、自動車保険料が引き下げられています。さらに、将来的には自動運転技術が普及することもあり、自動車保険市場は緩やかな縮小が予想されています。
損害保険会社の主要収入である自動車保険料の引き下げで、今後の収益にどのような影響があるのかが焦点となります。
損害保険各社は脱自動車保険に向けて自転車保険や特約、新商品の販売や開発をしています。サイバー保険やネット炎上保険など、企業に向けた新種保険の開発も行われています。
- 損害保険業界では、少子高齢化の進展や人口減少による国内市場の縮小が課題であり、こうした状況を受けて、大手各社は海外展開を進めています。
東京海上HDは欧米やアジアなど46の国と地域で展開しています。2024年度年初予想ベースの事業別利益のうち、海外の割合は全体の75%を占めており、なかでも北米は海外事業を牽引しています。
MS&ADインシュアランスグループHDは、主に欧州やアセアンに進出し、48の国と地域に展開しています。2023年度の海外事業は全体の37%となっています。また、アセアンではNO.1の地位を築き、今後もアジア展開に力を入れていく予定です。
SOMPO HDは、北米、欧州、アジア、中南米など世界28ヶ国に進出しています。2023年度の連結利益に占める海外事業の割合は全体の56%です。農業保険に力を入れており9か国で提供しています。2021年にはイタリアの農業保険会社を買収するなど、海外の農業保険会社のM&Aを活発化に行っています。
- 自然災害の増加に伴い保険金支払額は年々増加傾向にあり、そのため地震保険料と火災保険料が相次いで値上げされています。2022年10月には大手損保各社が火災保険を11~13%の値上げ、最長契約期間も10年から5年へと短縮されました。
一方、海外事業では自然災害の規模が大きく収益を圧迫しやすいため、今後のリスク管理が重要となります。
各社は国内外で起こる大規模自然災害に備え、「異常危険準備金」の取り崩し額の増加などを強化しています。
- 中古車販売大手であるビッグモーターの「板金・塗装」部門で、自動車保険の保険金を不正に請求していたことが明らかになり、損害保険ジャパンを含めた損害保険会社7社が金融庁に報告書を提出しました。
金融庁は2024年1月に保険業法に基づいて損害保険ジャパンに対し業務改善命令を発しました。
以上のような損害保険業界をとりまく環境と課題について知っているとグループディスカッションや面接での質問に役に立ちます。
例えば面接で「当社が成長するためにどのような対策をとれば良いと考えますか?」といった質問をされることがあります。
損害保険業界の仕事
業務内容は法人向けと個人向けがあります。
営業部門の仕事には、営業、営業事務、契約査定、契約事務、代理店教育やサポートなどの仕事があります。
保険商品の販売は代理店を通じて行っていますので、営業の仕事の中心は代理店教育やサポート業務です。
一方、損害サービス部門として事故やトラブルなどにより契約者が保険の請求をした場合には、損害調査、事故の相手との示談交渉サポート、保険金支払いなどの仕事があります。
以上については、自社商品の深い知識や顧客のニーズに応じた対応が必要であり、交渉力や説得力などの高いコミュニケーションスキルが求められます。
その他、専門職としては、新しい保険商品の開発、経営戦略、資産運用、法務、海外市場開拓などの仕事があります。
損害保険業界ではどのような仕事があるのか、仕事内容をしっかり理解していることが志望動機を答えるときに重要です。また、事前に充分把握していると面接で希望する仕事を訊かれたときに役に立ちます。
生命保険業界とはどのような業界なのか
生命保険は契約者の生命に関わる経済的な困難を保障する保険です。
亡くなったり、病気やけがなどの際、契約時に定めた金額を、保険金や給付金として受取り人に支払います。これを定額給付といいます。
生命保険には、被保険者が亡くなった場合に残された遺族に支払う死亡保険、けが、病気で入院、通院が必要となったとき医療費の一定部分を支払う医療保険やがん保険、介護保険、資産形成のための年金保険や学資保険などがあります。
日本の生命保険の加入率は90%近くあり、世界的にも非常に高い水準といえます。
契約期間は一生涯にわたるものなど、長期のものが一般的です。そのため商品設計やリスク管理、契約者へのアフターフォローなど高い商品品質が求められます。
保険商品の販売は、営業職員による対面販売、インターネットや直営店舗を通じた直接販売、保険代理店や来店型の保険ショップなどがあります。
大手保険会社はこれまで対面販売を中心に営業活動を行ってきましたが、近ごろは銀行等の金融機関の窓口販売、保険ショップでの販売、インターネット販売など販売チャネルが多様化しています。
また、アジア各国の経済発展に伴い、生命保険の普及が進むことが予想されており、アジア地域への展開を図っています。アメリカ、オーストラリアなどの保険会社・事業を買収する動きもあります。
損害保険業界が3つの大手企業グループに集約されているのに対して、生命保険業界は多くの企業があり、今後企業再編に進む可能性があります。
面接で志望動機を語るとき、生命保険業界とはどのような業界なのか知っていることが大切です。
生命保険業界の環境と課題
- 大手・中堅生命保険会社9社の2023年度の保険料等収入は15兆9,300億円と前期比2.1%増でした。国内株価の大幅上昇や為替の円安などにより有価証券の含み益が2022年度と比べて6.6兆円増加しました。
一方、本業のもうけを示す基礎利益は2兆800億円と前期比35%増加しました。コロナ禍からの経済環境の回復もあって、株式配当金や投資信託の分配金などの増加は、基礎利回りを支える有力な収入となっていると推測されます。(ニッセイ基礎研究所)
- 生命保険会社は、安全性を重視した運用を義務付けられており、運用の主軸は株式、外国証券より公社債で、主に国債です。
ところが、日銀の長引く金融緩和策によって、国債の利回りが著しく低下しており、運用のメインである国債で利益を出すことが難しく、生命保険業界は苦しんでいます。
そのため生命保険各社は、償還期限を迎えた国債を外債に充てることや、ESG債など新規分野への投資比率を高めることで対応しています。
また、保険料を決める基準となる「標準生命表」の改定が2018年に行われ、その結果保険料の引き下げが行われていて、その「収入減」と「運用益減」の二重の痛手を受けています。
こうした状況から、長引く低金利の下では予定利率の維持が厳しいとして、企業年金保険の利率の引き下げの動きが始まりました。
- 生命保険業界では団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」や、団塊ジュニアが60歳以上となり、団塊世代の死亡数が増える「2035年問題」が懸念されています。
少子高齢化や人口減少が進むことで、保険金の支払が増加する一方、契約者は減少するという厳しい状況が予想さ、さらに、昨今の「若年層の保険離れ」も問題となっています。
少子高齢化と人口減少による競争激化に備え、生命保険会社は新会社の設立や、国内外の生命保険会社を買収して販路を強化しています。
また、低金利の影響を受けにくい「保障性商品」や「外貨建て保険商品」、保険者の健康への取り組みによって保険料が変わる「健康増進型保険」の開発などにも力を注いでいます。
- 「生保レディー」と呼ばれる営業職員の獲得は高齢化や人手不足で難しくなり、代理店網の拡充を急いでいます。
日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命の大手4社を合わせた23年度末時点の営業職員総数は15万3,427人と、2011年度末以降で最少となりました。ピーク時の2020年度末には17万人以上が在籍していました。
人手不足が強まるなか、各社は営業職員の定着率を高めようと、待遇改善に力を入れています。日本生命は24年度に営業職員の賃金を平均7%程度引き上げました。7%の賃上げは2年連続です。
他社も7%程度の賃上げを実施しています。明治安田生命は2027年度に内勤職の定年を現行の65歳から70歳に引き上げる方針です。(日本経済新聞)
以上のような生命保険業界をとりまく環境について知っていると、グループディスカッションや面接での質問に役に立ちます。
例えば面接で「少子高齢化の中で当社が生き残るためには、どのような対策をとれば良いと考えますか?」といった質問をされることがあります。
生命保険業界の仕事
営業部門の業務内容は法人向けと個人向け、代理店向けがあります。
個人営業は、新規契約獲得とアフターファローを行います。
法人営業は、団体保険や、企業年金といった保険商品やサービスを提供します。
代理店営業は、代理店に対する教育やサポートなどの仕事を行います。
以上については、自社商品の深い知識や顧客のニーズに応じた対応が必要であり、交渉力や説得力などの高いコミュニケーションスキルが求められます。
一方、保険引受(アンダーライティング)という、保険契約時とその後の管理を行う業務があります。新規契約審査、管理、保険金支払いの業務です。
その他の専門職では、生命保険会社の重要な業務として保険料の資産運用があり、新しい保険商品の開発、経営戦略、法務、海外市場開拓などの仕事があります。
生命保険業界ではどのような仕事があるのか、仕事内容をしっかり理解していることが志望動機を答えるときに重要です。また、事前に充分把握していると面接で希望する仕事を訊かれたときに役に立ちます。
まとめ
保険業界各社に応募する人は、業界をとりまく環境と課題を理解しておいて、面接での志望動機を語る際などに役立ててください。
また、面接官からの質問に答えるときにも、本記事で紹介したような知識が大切になります。
この他にも業界の知識を積極的に吸収しましょう。
加えて、面接対策(まさに、これこそが重要!!)を完全にしたい就活生や転職希望者のために、キャリア育みファームでは必勝マニュアルの販売を行っています。役に立つこと請け合いです。
マニュアルに沿って面接対策を進めることで、ライバルからグンと抜け出すことができます。詳細については以下のページをご覧ください。
保険各社の具体的な面接対策については以下の記事を参考にしてください。