【22卒】面接官が教える「ANA」の面接対策

日本のメガ・キャリアであるANAに入社を希望する人が、必ず通過しなければならない面接試験。応募者は事前にどのような面接の対策をしたらよいのでしょうか?
(ANAの社名は全日本空輸株式会社ですが、本ブログでは略して「ANA」と呼ぶこととします。)
ANAに入社を希望する人がぜひとも知っておきたい面接に関しての情報や、ノウハウというものがあります。
例えばANAの面接では、求める人材をよく理解して、自己PRにおいて特に行動力とチームワーク力をアピールすることが重要です。
技術系で応募の場合は、研究内容をわかりやすく説明してください。
客室乗務員の応募者は「あんしん、あったか、あかるく元気!」を体現できることをアピールすることです。
英語力は当然ながら求められます。
一方、面接で志望動機を語るためにはなぜ航空業界なのか、その中で競合他社と比べてなぜANAなのか答えられなくてはいけません。
志望する職種を選んだ理由と、そこでやってみたいことも明確に伝える必要があります。
これら以外にもANAの面接を受けるにあたって大切なポイントがあります。
本ブログでは、面接官である筆者が、ANAの採用情報とともに、面接で必ず訊かれる自己PRや志望動機の受け答えなどについてその対策を解説していきます。
さらに面接に臨むうえで必要な知識として、ANAの会社に関する情報を載せています。
面接対策は、自己分析や企業研究の段階から既にはじまっています。
分析した結果を基にエントリーシートを作成し、一貫性をもたせて面接に繋げる必要があります。
就活中の学生は、本ブログを読むことで自己分析・企業研究の段階からスムーズに選考・面接対策ができるようになります。
ANAの求める人材
ANAはどのような人材を求めているのでしょうか。
面接では求める人材を知っておくことが自己PRをするうえで必要です。
後述するANAグループの行動指針には、「チームスピリット 多様性を活かし、真摯に議論し一致して行動します。」及び「努力と挑戦(Endeavor)グローバルな視野を持って、ひたむきに努力し枠を超えて挑戦します。」が明記されています。
この行動指針からANAが求める人材像は、次のような人と考えられます。
「グローバルな視野を持ち、自らやるべきことを見つけて挑戦する人材」
「チームで自らの役割を理解して、チームワークを発揮できる人材」
また、ホームページにある社員インタビューなどから見える求められる人は、次のとおりです。
- 会社の社風は、体育会系なので、上司の指示を素直に粘り強く遂行できる人。
- 地道でコツコツ仕事ができる人、泥臭い、裏方の仕事ができる人。
- お客様の望んでいることを受け止め、しっかり対応できる人。
求める人材像を理解し、面接での自己PRに結び付けてください。
ANAの新卒採用情報について【就活】
はじめにANAの新卒採用情報について、概要を以下に記します。
- 募集職種
ANAの新卒採用は、職種別となっています。
- グローバルスタッフ職事務
社内にある多様な部署と仕事の全てに挑戦できます。また、ジョブローテーションにより複数の部署と仕事を経験する中で、専門性とマネジメント力の両方を身に付けていきます。
- グローバルスタッフ職技術
エアラインエンジニアとしてANAグループの航空機整備業務の全般を担います。
品質保証、生産計画、総務企画、整備技術、運航技術、教育訓練、整備現業の仕事に従事します。その他、本社部門や、グループ会社および航空機・エンジン・部品メーカーへの出向や、新型機種開発プロジェクトへの参加などがあります
- 客室乗務員(*専門学校、短期大学も応募可能です。)
航空機内で「安全にお客様を目的地にお届けする保安要員」と「お客様が快適にお過ごしいただける空間づくりをするサービス要員」の役割を果たします。
- その他
運航乗務職(自社養成パイロット)とエキスパートスタッフ職(障害者採用)があります。
- グローバルスタッフ職事務
- 選考フロー
- グローバルスタッフ職事務
エントリー(エントリーシート基本情報登録、WEBエントリーシート提出、WEB動画、WEB適性検査受検)→総合適性検査受検→書類選考→本選考(一次、二次、最終面接)→内々定
- グローバルスタッフ職技術
エントリー(WEB適性検査受検、WEBSPI受験、WEBエントリーシート提出)→書類選考→本選考(一次、二次、最終面接)→内々定
- 客室乗務員
エントリー(エントリーシート基本情報登録、WEBエントリーシート提出、動画提出、総合適性検査受検、英語試験受験)→書類選考→本選考(面接・身体検査など)→内々定
- グローバルスタッフ職事務
- エントリーシート
グローバルスタッフ職事務 (21年卒)
自己PRに関すること
- 「努力と挑戦」、「チームスピリット」のいずれかまたは両方を用いてあなたのエピソードや考えを記載してください。(400文字以下)
- あなたがこれまでの人生の中で最もチャレンジをしたと思うエピソードを、それに取り組んだ理由も含めて記載してください。
- (あなたらしさが分かる写真をアップロードし、) 写真を選んだ理由と、あなた自身について紹介してください。(100文字以下)
志望動機に関すること
- ANAのグローバルスタッフ職(事務)を志望する理由を記載してください。(400文字以下)
- ANAのグローバルスタッフ職(事務)として初期配属でフロントライン経験後、入社3年目・6年目・10年目にどのような活躍をイメージしていますか?ご自身の強みや弱みも含めて、やってみたい業務内容について希望職をプルダウンより選択の上、自由に記載してください。(200文字以下)
グローバルスタッフ職技術 (20年卒)
自己PRに関すること
- あなたが自分自身に課しているルール(いつも心がけていること)について、理由・エピソードを添えて教えてください。(400文字以下)
- あなたらしさがわかる写真を選んだ理由と、あなた自身について紹介してください。※複数名で写っている場合には、必ずご本人が特定できるように注記してください。(250文字以下)
志望動機に関すること
- あなたがANAグローバルスタッフ職(技術)を志望する理由を自由に表現してください。(400文字以下)
客室乗務員 (20年卒)
自己PRに関すること
- 将来の姿について想像した時に、あなたは人としてどうありたいですか。 ※ANA客室乗務職としてのキャリアビジョンではなく、大切にしたい考え方や価値観を記入してください。(200字以内)
志望動機に関すること
- あなたがANAの客室乗務職を志望する理由を記入してください(150字以内)
- 面接
面接には次の様な質問が想定されます。
グローバルスタッフ職(事務・技術)の面接は、3回行われます。面接での選考ポイントは、学生時代に頑張ったことと、チームワークができるか、ANAへの思い入れの強さです。
- グローバルスタッフ職事務
自己PRに関すること
自己紹介
学生時代頑張ったこと、その中で困難だったこと、課題解決の方法、そこから得たもの
チームで成し遂げた経験、その中で自分の役割、活動する上で大切だと思うこと
挫折した経験、挫折を乗り越えるための行動や考え方
自分の強みは何か?それをANAでどう活かしていけるか
英語力
志望動機に関すること
なぜ航空業界を志望するか
なぜANAを志望するか、なぜJALでなくANAなのか
ANAでやりたいことは何か?
希望通りの配属にならなかったらどうするか
ANAとJALの違いは何か、ANAのイメージは何か
ANAの強み、弱みは何か
ANAの魅力や認知度アップのためにANAに提案すること
他社選考状況と入社意欲
- グローバルスタッフ職技術
自己PRに関すること
自己紹介
学生時代頑張ったこと、その中で困難だったこと、課題解決の方法、そこから得たもの
チームで成し遂げた経験、その中で自分の役割、活動する上で大切だと思うこと
研究のことについて
自分自身に課しているルールについて、その理由とエピソード
挫折した経験、挫折を乗り越えるための行動や考え方
英語力
志望動機に関すること
なぜ航空業界を志望するか
なぜANAを志望するか
なぜANAで技術職なのか
入社後にやりたいこと、興味のある仕事
希望通りの配属にならなかったらどうするか
ANAとJALの違いは何か、ANAのイメージは何か?
なぜメーカーではなくANAなのか
他社選考状況
- 客室乗務員
自己PRに関すること
学生時代頑張ったこと、その中で困難だったこと、課題解決の方法、そこから得たもの
チームで成し遂げた経験、その中で自分の役割、活動する上で大切だと思うこと
今までの経験のなかで、客室乗務員の仕事に活かせることは何か
努力していることは何か
5年後10年後どうなりたい
英語力
志望動機に関すること
なぜ客室乗務員に応募するのか
なぜJALではなくANAを志望するのか
他社選考状況
- グローバルスタッフ職事務
- 採用人数
19年度入社 126人 *グローバルスタッフ職事務、技術
20年度入社
- グローバルスタッフ職事務 64名
- グローバルスタッフ職技術 54名
- 客室乗務員 700名程度
21年度採用計画 採用中止
- 19年新卒入社大学別就職者数
国公立大:
京都大5、北海道大1、東北大4、名古屋大5、大阪大4、九州大10、東京工業大1、一橋大3、筑波大2、千葉大2、電通大1、東京外大7、都立大1、横浜国大4、横浜市大4、大阪市大2、大阪府大1、神戸大4、岡山大1、広島大1、他
私立大:
早稲田大32、慶応大32、上智大29、明治大16、青山学院大41、立教大25、中央大14、法政大23、学習院大7、成蹊大5、成城大6、武蔵大1、明治学院大10、国学院大1、日本大14、東洋大3、駒沢大4、東海大11、東京理科大6、芝浦工大3、東京女子大10、日本女子大13、津田塾大3、大妻女子大3、共立女子大4、昭和女子大7、神奈川大3、愛知大3、愛知淑徳大4、中京大2、南山大9、名城大3、同志社大20、立命館大22、関西大15、関西学院大29、京都産業大3、龍谷大4、京都女子大4、同志社女子大17、近畿大8、桃山学院大1、甲南大5、武庫川女子大3、西南学院大14、他
以上は大学院修了者を含みます。
※サンデー毎日(2019年8月18・25日号)参照
- 学歴フィルター
ANAは国公立、私立大の難関大学を中心に採用していますが、中堅の大学も採用しています。航空会社の性格上、海外の大学も採用しています。
面接攻略の考え方【就活】
面接では自己PRと志望動機を必ず訊かれます。よってそれらの答えをあらかじめ準備する必要があります。以下の自己PRと志望動機のヒントを参考にしてください。
- 面接時の自己PRのヒント
■行動力とチームワーク力を自分の中で探してアピールする
ANAは基本的に、特に行動力とチームワーク力を求めていると考えられます。
上記の求める人材にあるように、ANAは「グローバルな視野を持ち、自らやるべきことを見つけて挑戦する」「チームで自らの役割を理解して、チームワークを発揮できる」人を求めています。
ここで、「グローバルな視野を持ち、自らやるべきことを見つけて挑戦する」は、行動力を表しています。
また、「チームで自らの役割を理解して、チームワークを発揮できる」は、チームワーク力を表しています。
すなわち、ANAの社員は、開拓者精神を持った積極的な行動が求められると考えられます。そして関係者とコミュニケーションをとり、チームワークで課題に対応する精神も求められると考えられます。
また、後述するANAグループの中期経営計画を推進するためにも、行動力とチームワーク力が必要であり、それらを自己PRすることです。
面接では、学生時代において最も力を入れて取り組んだことと、なぜ取り組んだのかその理由を説明してください。力を入れたことは勉強、クラブ活動、アルバイト、ボランティア活動などなんでも良いです。
そのさい、目標達成に向けてどのような困難があり、それをどのように乗り越えて、どのような成果をあげたかも説明できるようにしてください。
またゼミや部活、クラブ活動などで、自分が請け負った役割と、目標達成のためにメンバーをどのように巻き込んだか、メンバーの意見を尊重するなかで、どのように自分の考えを理解してもらったかなど、チームの中での円満な人間関係に努力したエピソードを探し出して、語ってください。
但し、ANAは採用するすべての人に行動力とチームワーク力を求めているわけではありません。自分の最も伝えたい能力が他にあるなら、面接でその能力を上手に説明してください。
■技術系応募者は研究内容を語る
ANAグループの行動指針の一番は、「安全」です。安全こそ経営の基盤とうたっています。また、中期経営計画を達成するための技術面での役割は大きなものがあります。
技術系応募者はそれらの仕事に技術面で関わることが求められます。
技術職のスタートは航空機整備からです。メーカーの製品開発の仕事と異なり、華やかさはなく、地味な裏方の仕事ですが、安全を守るために絶対なくてはならない仕事です。
大学で自分が研究したことが直接使えるような仕事は少ないかも知れませんが、面接では、「航空機の安全」に十分対応できる能力、スキルがあることを、自分の研究内容から探し出して話せるようにしてください。
具体的に、研究内容をわかりやすく説明できることです。
なぜその研究を選んだか、その課題と課題解決の手法をあげ、解決に困難だった点について自分自身の工夫と成果を説明できるようにしてください。
課題を解決するために、どのように周囲を巻き込んでいったか、あるいはねばり強く取り組んでいったかなどについても説明できるといいです。
研究をチームでやっている場合は、チーム内での役割も伝えてください。研究の将来性などがわかれば、それも話してください。
また、直接仕事に関係する研究や勉強をしていない応募者が多いと思います。その場合は面接で論理的な能力、思考力といった潜在的な能力面をアピールすることです。
■客室乗務員応募者はANAグループにある「あんしん、あったか、あかるく元気!」を体現できることをアピールする。
客室乗務員は、航空会社社員で最もお客様と接する時間が長い、いわば最前線の仕事です。このときのお客様に接する対応がその会社のイメージに大きく影響します。
筆者も仕事で、プライベートで飛行機を利用していますが、その際の客室乗務員のお客様への接し方がその会社のイメージとなっています。
よって、お客様に「あんしん、あったか、あかるく元気!」を体現できることを証明できる具体的なエピソードを用意してください。また、面接もあかるく元気そうな雰囲気を醸し出してください。
■英語力をアピールする
グローバルスタッフ職事務、技術は、採用選考において語学力基準による合否判定はしませんが、実務において英語力、他の語学力は必須であり、エントリーシートにもTOEICなどの点数記入が求められています。よって、英語力等に自信があればアピールしましょう。
客室乗務員は、実務上英語力は必須であり、エントリー段階で英語試験受験が課せられています。
ただし、TOEIC600点、GTEC260点以上は試験免除となっています。したがって最低TOEIC600点程度の英語力が求められていると考えられます。英語力に自信があれば面接でアピールしましょう。
- 面接時に志望動機を語るヒント
■ANAグループの経営に対する考え方を知る
ANAグループは後述する経営理念で、安心と信頼はお客様との約束であると宣言しています。
これを受け、経営ビジョンで、お客様の満足を高め、様々な価値の創造を通じて自立した強い企業として発展していくことを宣言しています。
この経営ビジョンを達成するために社員に求められる行動の指針は、「あんしん、あったか、明るく元気」です。
まずは、以上をしっかり頭に入れておきましょう。
■なぜ航空業界を選ぶのか明確に伝える
航空業界を志望する応募者は、航空会社という、はなやかに見える職場で働きたいとか、ユニフォームを着てみたいとか、海外へ行くチャンスが増えるといったような理由を志望動機にする人が多いと考えられます。
このようなあこがれは大切ですが、あこがれだけでは採用となりません。
航空業界の役割は何か、他の運輸業界や、メーカーとの違いは何かを理解しておいてください。続いて、航空業界について業務の理解を深めていき、面接で魅力を語ってください。
■なぜANAを選ぶのか明確に伝える
ANAを志望する人は、航空会社に興味がある人であり、ANAと並行してJALや他のエアラインに応募する人が多いことと思います。
仮にANAが第一志望でなくても、競合他社と比較しなぜANAなのかを、面接で質問されたときにしっかり答えられなくてはなりません。そのためには、ANAと競合他社のホームページをしっかり読んでその違いを知っておいてください。
一方、特に理系学生は、なぜメーカーではなくてANAなのか質問されることがあります。
ANAグループの「経営理念」や「2018-2022中期経営戦略」、その他ホームページから感じたことをまとめてください。そのなかで、自分が共感できることがANAを選んだ志望動機となります。
■ANAでやりたいことは何か、そこで活かせる経験や、やりたい理由を明確に伝える
ANAの採用募集は、グローバルスタッフ事務、技術、客室乗務員別の採用です。
そのような職種を選んだ理由と、そこでやりたいことを面接でしっかりと説明できなければなりません。
「グローバルスタッフ職事務は自分にとって・・・・のような点が魅力です。自分の持つ粘り強く取り組む実行力を発揮し、将来的にアジア富裕層取込みのマーケティング戦略をやってみたいです」のようなことです。
■ANAの志望順位、他社の応募状況を答えられるようにする
志望順位については、迷わず第一志望ですと答えましょう。
グローバルスタッフ職で他社の応募状況を聞かれたら、航空業界志望ならJALとか他社の名前を出しても構わないと思います。それ以外なら「〇〇業界にも興味があり応募しています」くらいは答えてもいいです。この場合まったくの異業種であり、なぜそうなのか答えられるようにしてください。
客室乗務員の場合は、JALとか他のエアライン応募を答えても良いと思います。他の航空会社を複数応募するのは当たり前だからです。
注意すべきは、特にライバルのJALとの違いや、その中でなぜANAを選ぶのかを面接で質問されたときに、上手に説明できることです。
以上、ANAの採用情報と面接攻略の考え方を説明しました。特に面接は複数回行われ、自己PRと志望動機に関する様々な質問がなされることが予想されます。
また、さらに面接対策を完全にしたい就活生のために、キャリア育みファームでは必勝マニュアル「ベテラン面接官が教えるとっておきの就活面接必勝法」の販売も行っています。
本マニュアルの方法で自己分析を進めることで、ライバルから一歩抜け出した自己PRと志望動機を作成できます。詳細については、マニュアルのページをご覧ください。
面接を攻略するために知っておきたい基本的な知識【就活】
面接を攻略するためには、航空業界を取り巻く環境を理解することと、航空業界で働いたときの仕事の内容も理解しておくことが大切です。
ブログ記事「【2021年】航空業界に応募する時の面接で役に立つ基礎知識」を読んでおいてください。
続いて、ANAとはどのような会社なのかを理解することも面接準備には必須です。
ANAのこれまでの歩み、ANAやグループの従業員数や売り上げといった会社概要、ANAグループの哲学ともいえる経営理念、ANAブランドの価値や強み、これからのANAグループの方向性を示す中期経営戦略など、面接での受け答えのためにぜひとも知っておいてください。
これら以外にもANAのホームページを隅から隅まで熟読することをお勧めします。
本記事の後半で面接を受けるにあたり必要と思われるANAの基本的な知識を簡単に紹介します。ぜひ読んでおいてください。
ANAの面接攻略のまとめ【就活】
ANAに入社を希望する人が、必ず通過しなければならない面接試験。面接ではどのようなことに気をつけなければならないのでしょうか?
まずは、ANAの置かれた環境を知ってください。
ANAが採用したい人材は、「グローバルな視野を持ち、自らやるべきことを見つけて挑戦する人」、「チームで自らの役割を理解して、チームワークを発揮できる人」です。
面接での選考ポイントは、学生時代に頑張ったことと、チームワークができるか、ANAへの思い入れの強さです。
面接で自己PRをするときのポイントとしては、以下があげられます。
- 行動力とチームワーク力を自分の中で探してアピールする
- 技術系応募者は研究内容を語る
- 客室乗務員応募者はANAグループにある「あんしん、あったか、あかるく元気!」を体現できることをアピールする。また英語力に自信があればアピールしましょう。
面接で志望動機を伝えるときのポイントとしては、以下があげられます。
- なぜ航空業界を選ぶのか明確に伝える
- なぜANAを選ぶのか明確に伝える
- ANAでやりたいことは何か、そこで活かせる経験や、やりたい理由を明確に伝える
- ANAの志望順位、他社の応募状況を答えられるようにする
面接を攻略するためには、まずは航空業界を取り巻く環境を理解することと、航空業界で働いたときの仕事の内容も理解しておくことが大切です。
また、ANAはどのような会社なのかを理解することも面接準備には必須です。
ANAの会社に関する知識について、面接での受け答えのためにぜひとも知っておいてください。
以下のリンクも参照ください。
経営数字から見るANAグループの会社概要
航空業界は、航空路や空港を利用し航空機によって旅客輸送や貨物輸送を行うサービスを提供しています。
航空会社は、大きく「メガ・キャリア」(大規模航空事業者)と「LCC」(格安航空会社)に分けられます。
メガ・キャリアは、LCCと比較し航空運賃では高額ですが、質の高いサービスなどが売りで、国内、国外に多くの運航路線を張り巡らしています。 一方、LCCの最大の特徴は低料金です。
日本のメガ・キャリアは、ANA(全日本空輸)とJAL(日本航空)の2社です。
ANAはANAグループの中核として航空運送を運営しています。
このようなANAの資本金、従業員数は次のとおりです。(2020年3月31日現在)
資本金は、250億円です。
従業員数は、14,830名です。
ANAホールディングスの2019年3月期の連結経営成績は次の通りです。
- 資本金 3,187億89百万円
- 連結従業員 45,849人
- 売上高 19,742億円
- 営業利益 608億円
- 経常損益 593億円
- 当期純利益 276億円
航空事業の売上内訳は次のようになっています。
- 国際旅客 6,139億円
- 国内旅客 6,799億円
- 国内旅客 6,799億円
2018年度の売上高構成比(調整額消去前)は次の通りです
- 航空事業 18,144億円(74.1%)
- 航空関連事業 2,910億円(11.9%)
- 旅行事業 1,507億円(6.2%)
- 商社事業 1,506億円(6.1%)
- その他 409億円(1.7%)
以下は数字で見るANAグループです。(2018年3月末現在)
- 運用航空機数 304機
- 年間輸送人数 5,440万人
- 就航都市 94都市
- 年間貨物輸送重量 137.6万トン
- ANAの女性管理職比率 14.6%
- 障害者雇用率 2.57%(2019年6月1日)
- 自己資本比率 40.9%
- 8年連続 5スターエアライン
- 定時到着率 86.5%
- 国内航空会社 マーケットシェアNO1
- ボーイング787型機 世界導入第1号
面接では会社概要について、例えば「ANAの売上はどれくらい?」のような質問をされることがあります。面接前に概要をしっかり知ることが大切です。
ANAの歩みを知る
日本の航空業界は、ANA/全日本空輸とJAL/日本航空の2強体制となっています。
JALは半官半民の会社としてスタートしましたが、ANAは純粋に民間会社としてのスタートです。
それでは、直近のANAグループのホームページから得た情報を掲載します。ぜひ知っておいてください。
1952年設立の日本ヘリコプター輸送株式会社と、極東航空株式会社が1958年に合併しANA/全日本空輸が設立されました。
設立後、ANAは国内線を運営していましたが、1986年、悲願の国際定期便の運航を開始しました。
さらに、1999年世界最大の航空連合「スターアライアンス」に加盟し、メンバー各社とコードシェアすることでネットワークを拡大し、2005年には国際線就航以来初の黒字化を達成しました。
そして2013年、首都圏空港容量の拡大や航空自由化のさらなる拡大、LCCの相次ぐ就航など航空業界の大きな転換点を迎える中で、これらの変化に対応すべく持株会社制に移行しANAホールディングスが発足しました。
2013~2016年には、エアラインスターランキングで「5スター」を連続して獲得しました。
2016年国際線就航30周年には、国際線における売上高、座席キロ、旅客キロが日本の航空会社で一番となりました。
面接に臨む前に、ANAの歴史を知っておきましょう。
ANAグループの経営理念
ANAグループの経営理念とはどのようなものでしょうか。以下にANAの経営理念を載せます。
- ANAグループの経営理念
『安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します』
「安心と信頼」はANAグループとお客様との約束であり、経営の根幹に位置付けられる私たちの責務です。
エアライン事業を中核とするANAグループは、「挑戦し続ける」「強く生まれ変わる」「いつもお客様に寄り添う」気持ち、「心の翼」をもって、永続的にこれからの社会の発展に貢献し、「夢あふれる未来」創りの一翼を担っていきます。
- グループ経営ビジョン
『ANAグループは、お客様満足と価値創造で世界のリーディングエアライングループを目指します。』
- グループ行動指針
『私たちは、「あんしん、あったか、あかるく元気!」に、次のように行動します。』
- 安全(Safety)
安全こそ経営の基盤、守り続けます。
- お客様視点(Customer Orientation)
常にお客様の視点に立って、最高の価値を生み出します。
- 社会への責任(Social Responsibility)
誠実かつ公正に、より良い社会に貢献します。
- チームスピリット(Team Spirit)
多様性を活かし、真摯に議論し一致して行動します。
- 努力と挑戦(Endeavor)
グルーバルな視野を持って、ひたむきに努力し枠を超えて挑戦します。
面接では、ANAグループの経営理念について質問されることがあるかも知れません。また志望動機をつくるときにも参考になります。
ANAブランドの価値
ANAブランドの価値を知っておきましょう。
ANAのブランド価値は、「Inspiration of Japan」のなかに表されています。
「Inspiration of Japan」に込めた思いとは、「日本の心」を大切にして、全ての顧客に誠実、謙虚、礼儀正しくあること、いかなる場合も丁寧な作業を心がけ、互いに協調し、安全で正確な運航を確実なものにすることです。
ANAはそれだけでなく、「新しく日本を創りだす」気概で、幾多の挑戦と試行錯誤を繰り返しながら空運事業を開拓してきました。
あたたかさ、細やかな心遣い、ワクワクするような高揚感まで感じていただくことや、ANAの空の旅でしか体験することのできない、これまでにない感動を世界中の人たちに届けます。
ANAブランドの価値は「Sparkling」(輝く)、「Caring」(思いやり)、「Japan Quality」(日本品質)の3つの要素で表しています。
面接に臨む前に、ANAブランドの価値を知っておきましょう。
ANAグループの強み
ANAグループの強みは以下の4つです。
- 品質
2019年、SKYTRAX社より安全第一を評価され、世界最高評価の「5スター」を7年連続で獲得しました。
- 革新性
開発段階から参画したボーイング787型機を世界で初めて導入し、国際線を中心に投入しています。
- 規模
2016年には、国内線・国際線ともに、国内No.1(売上高・座席キロ・旅客キロ・旅客数)となりました。
- グループ総合力
マルチブランド戦略の推進により、お客様に選ばれ続けるエアライングループを目指して総合力を高めていきます。
面接では、ANAの強みについて質問されることがあります。覚えておきましょう。
ANAグループの2018-2022年度中期経営計画
- ANAグループを取り巻く環境とビジネスチャンス
日本経済は、低成長と少子高齢化にあり、市況(為替・燃油)は不安定です。
一方、国の成長戦略として観光立国や地方創生を掲げています。またアジアゲートウェィ構想の中で、オープンスカイ(航空自由化)を重点施策として挙げています。
東京2020オリンピック・パラリンピックによる日本への観光客増大も期待されます。航空業界では羽田空港など空港インフラが整備されました。次世代航空機の開発も進んでいます。
国外では、アジアは経済成長が著しくなっています。一方、中東など地政学リスクの高い地域もあります。
このような環境下、アジアを中心とする訪日需要の拡大や、首都圏空港における発着枠拡大、アジアの経済成長が航空産業にとってチャンスとなります。
一方で、日本の人口減少(少子高齢化)、海外のLCCなどのエアラインとの競争激化、景気問題、外交問題などのリスクもあります。
- 「2018-2022年度中期経営戦略」のテーマ
足元をしっかり固め、未来へ動く
- 3つの戦略
航空事業では、エアライン収益基盤の拡充と最適ポートフォリオの追求を図ります。
ノンエアでは、既存事業の選択・集中と新たな事業ドメインの創造を図ります。
オープンイノベーションとICT技術の活用を進めます。
- 航空事業の戦略概要
国際線旅客事業では、成長の柱として路線ネットワークを拡大します。
具体的には、首都圏空港(羽田・成田)を拠点に国際線ネットワークを拡大させます。
ホワイトスポット(未就航エリア)への進出や、海外航空会社と提携戦略を推進します。
新たなプロダクト・サービスを順次展開したり、最新鋭機材の導入を進めます。
国内線旅客事業は、ANAグループの収益基盤の維持・向上を図ります。
具体的には、シートモニターの装着や無料Wi―Fiサービスなど、プロダクト・サービスを強化します。
機材小型化や、乗り継ぎ利便性の向上をさらに図っていきます。
貨物事業は、首都圏・沖縄貨物ハブのネットワーク再構築で成長を加速させます。
具体的には、成田・羽田空港では、アジア―北米間の需要獲得のために大型フレイター(貨物専用輸送機)を導入します。
沖縄貨物ハブではアジア域内の貨物の流動を見極めた最適ネットワークを構築します。
- 3つの戦略
中期経営計画は、志望動機をつくるときに自分の能力が役に立つことを伝えるためには必要な知識です。自分はこのような勉強をしているからこの仕事で役に立つとか、そのような説明のヒントを探ることができます。