【23卒】面接官が教える「全農」の面接対策

JAグループにおいて、全国段階で経済事業を担う全農に入会を希望する人が、必ず通過しなければならない面接試験。応募者は事前にどのような面接対策をしたらよいのでしょうか?
(全農の正式名称は、全国農業協同組合連合会ですが、本ブログでは略して全農と呼ぶこととします。)
全農に入社を希望する人がぜひとも知っておきたい就職の面接に関しての情報や、ノウハウというものがあります。
例えば、全農の面接では求める人材をよく理解して、自己PRにおいては、課題解決力と行動力をアピールすることが大切です。
一方、面接で志望動機を語るためにはなぜ全農を選ぶのかについて的確に答えられなくてはいけません。
さらに競合先と比べてなぜ全農なのかについても面接官が納得できるように答えることが大切です。
これら以外にも全農の就職の面接を受けるにあたって大切なポイントがあります。
本ブログでは、面接官である筆者が、全農の採用情報とともに、就職の面接で必ず訊かれる自己PRや志望動機の受け答えなどについてその対策を解説していきます。
さらに面接に臨むうえで必要な知識として、全農の会社に関する情報を載せています。
なお、本ブログは全農の面接対策ですが、地域ごとのJAに応募する場合でも参考となります。ご覧になってください。
面接対策は、自己分析や企業研究の段階から既にはじまっています。
分析した結果を基にエントリーシートを作成し、一貫性をもたせて面接に繋げる必要があります。
就活中の学生は本ブログを読むことで、自己分析や企業研究の段階からスムーズに選考、面接対策へ進むことができるようになります。
全農の求める人材
全農はどのような人材を求めているのでしょうか?
全農のリクルートサイトにある人事からのメッセージには、求める人材が明記されています。
- 農業への関心が高く、今後の日本農業の発展に尽力できる人材
- バイタリティ溢れた人材
- 広い視野で職務を遂行できる人材
- 課題解決能力の優れた人材
面接において自己PRをするとき、求める人材像をあらかじめ知っておくことは大切です。
全農の新卒採用情報について【就活】
はじめに全農の新卒採用情報について以下に記します。
- 募集職種
募集職種は、総合職の全国コース、県域コースの2コースです。
その中で、事務系、技術系に分けて募集しています。
専攻科目は、事務系は全学部全学科ですが、技術系(獣医)は獣医課程、技術系(建築設計)は、土木・建築課程です。
なお、全農は、4月1日時点で大卒25歳、大学院27歳までは既卒応募可能です。
- 採用フロー
WEBエントリー→エントリーシート→適性検査及び応募書類提出→書類選考→面接(3回)→内々定
身上調書(本会所定用紙)、学業成績証明書、卒業・修了見込証明書(1通)の提出が必要です。
技術系は選考期間中に専門試験、研究所・施設見学を行います。
- エントリーシート(22年卒)
自己PRに関すること
- 自己PRをお願いします。
- 自覚している特徴
- 他者から見た特徴
- 学部選択理由
- 学生時代に力を入れて打ち込んだこと、チャレンジしたことは何ですか?そこで得たものやそこで苦労したことを具体的に教えてください。(何故打ち込み、挑戦し、そこで何を得、苦労にどう対処したか)
※社会人の方は、会社員時代のことも教えてください。
- 学生時代にどんなアルバイトをしましたか。またその目的とそこで得たものを教えてください。
※社会人の方は、会社での経験を本会でどう活かす考えなのか、教えてください。
志望動機に関すること
- 本会に就職を希望する理由を教えてください。また本会の事業で興味のあるものは何ですか?
- 農業・食に関して興味・関心を持っていることはなんですか?また、関心を持ったきっかけを教えてください。
- 全農の志望順位と理由
- 面接
面接ではESに沿って質問があります。学生時代に力を入れたこと、入会後のやりたい仕事の深掘りがあります。
自己PRに関すること
- 自己紹介をしてください
- 自己PRをしてください
- 大学では何を学んでいますか
- 学生時代に力を入れたことを教えてください(全農でどう活かせるか)
- クラブ・サークル活動と、その中での役割を教えてください
- アルバイトはどのようなことをしていましたか
- 困難な経験はありますか、困難を乗り越えるためにどうしましたか
- 強みと弱み及び、強みのエピソードを話してください
- 周りの人はあなたをどう評価していますか
- 趣味は何ですか
- 特技は何ですか
- 農業をしたことがありますか
志望動機に関すること
- 就活の軸は何ですか
- なぜ全農を志望しますか
- 入会後希望する部門とやりたい仕事は何ですか
- 農業への想いを話してください
- 日本の農業の問題点と解決策は何だと思いますか
- 希望する部署に配属されなくても良いですか
- 全国転勤は大丈夫ですか
- 協同組合のイメージを教えてください
- 家族は全農を受けることに何と言っていますか
- 他の応募状況と全農の志望度を教えてください
- 採用人数
19年度入会実績 241名
20年度入会実績 266名
21年度入会実績 237名
22年度入会計画 270名(全国コース60名 県域コース210名)
- 学歴フィルター
全農は全国の国公立大学、私立大学から幅広く採用しています。適性検査を通過すれば、道は拓けます。
学歴フィルターはありません。
面接攻略の考え方【就活】
就活の面接では自己PRと志望動機及びそれに関することを必ず訊かれます。
よってそれらの答えをあらかじめ準備する必要があります。
以下の自己PRと志望動機のヒントを参考にしてまとめてください。
- 面接時の自己PRのヒント
■課題解決力と行動力を自分の中で探してアピールする
全農は、特に課題解決力と行動力を求めていると考えられます。
上記の求める人材にあるように全農は、「バイタリティ溢れた人材」「.広い視野で職務を遂行できる人材」「課題解決能力の優れた人材」を求めています。
ここで、「バイタリティ溢れた」「広い視野で職務を遂行できる」ことは、業務を遂行するとき、さまざまな角度から検討し、やるべきことを粘り強く成果を出すまで頑張ることと考えられます。
すなわち行動力である言えます。
「課題解決能力の優れた」とは、そのまま課題解決力を指しています。
「全国コース」は、これからの日本の農業を左右するような責任感と使命感のある仕事であり、「県域コース」は、自分のはたらきが直接的、間接的に地域活性化につながっていく仕事です。
ですから、「全国コース」「県域コース」とも、課題解決力と行動力が求められているのではないでしょうか。
面接では、学生時代において最も力を入れたことを伝える中で課題解決力と行動力をアピールしましょう。
課題を発見して、既存の発想にとらわれず新しい解決法を考え、解決のための計画づくりができる。実現のために粘り強く取り組むことができる。というアピールです。
学生について、力を入れたことは学業、クラブ活動、アルバイト、ボランティア活動などなんでも良いのです。
最も力を入れたことは何か、なぜ力を入れたのか、困難だったことや困難を解決するために創意工夫してどのように粘り強く行動したか、自分が身につけたことなどを語ってください。
一方、既卒者は、可能ならば現職(前職)において、応募書類だけでは説明しきれない仕事ぶりを説明してください。
その中で、課題を見つけ、既存の発想にとらわれない対策を考え、課題解決のために自らが立てた対策で困難を乗り越え、粘り強く遂行した経験を説明してください。
そこで、自分が身につけた知識や、スキル、反省点なども語ってください。
但し、全農は採用するすべての人に課題解決力と行動力を求めているわけではありません。
自分の最も伝えたい能力が他にあるなら、その能力を上手に説明してください。
- 面接時に志望動機を語るヒント
■なぜ全農を選ぶのか明確に伝える
全農の経営理念、事業内容、事業計画などから感じたことをまとめてください。
そのなかで、自分が共感できることが全農を選んだ志望動機になります。
また、全農と競合先のホームページをしっかり読んでその違いを知っておいてください。
全農を志望する人は農業やアグリビジネスに興味がある人であり、全農と並行して、JA共済連や、JA(農業協同組合)、農林中金に応募する人が多いようです。
あるいは地域活性化ということでは日本郵便なども視野に入れているかも知れません。
たとえ全農が第一志望でなくても、競合先と比較し、なぜ全農なのかをしっかり答えられなくてはなりません。
■全農で応募するコースを希望する理由と、そのコースで希望する部門や、やりたい仕事は何かを明確に伝える
全農は、「全国コース」、「県域コース」別募集となっています。
応募するコースを選んだ理由と、希望する部門、そこでやりたい仕事は何か、なぜその仕事をやりたいのかをきちんと説明できなくてはいけません。
あわせてやりたい仕事で活かせる能力やスキルがあればそれを伝えてください。
■農業に関する知識を得て質問に明確に答えられるようにする
求める人材にあるように、全農は、「農業への関心が高く、今後の日本農業の発展に尽力できる人材」を求めています。
そのため農業に対する関心度を確認するためのいろいろな質問をします。
例えば「農業・食に関して興味・関心を持っていることはなんですか?また、関心を持ったきっかけを教えてください」「農業への想いを話してください」「日本の農業の問題点と解決策は何だと思いますか」と、いったような質問です。
全農のホームページを読み、農業、アグリビジネスに関する書物を読むと良いでしょう。
■全農の志望順位と他社の応募状況を答えられるようにする
志望順位については、迷わず第一志望ですと答えましょう。
他社の応募状況を聞かれたら、同じJAグループならば、JAグループ志望と答えてください。
応募先を教えてほしいと聞かれたら、それを答えてください。
JAグループ以外なら「〇〇業界にも興味があり応募しています」くらいは答えてもいいです。
この場合まったくの異業種であるので、なぜその業種に応募したのか答えられるようにしてください。
以上、JAグループの採用情報と面接攻略の考え方を説明しました。面接は複数回行われ、自己PRと志望動機に関する様々な質問がなされることが予想されます。
また、さらに面接対策を完全にしたい就活生のために、キャリア育みファームでは必勝マニュアル「ベテラン面接官が教えるとっておきの就活面接必勝法」の販売も行っています。
本マニュアルの方法で自己分析を進めることで、ライバルから一歩抜け出した自己PRと志望動機を作成できます。詳細については、マニュアルのページをご覧ください。
面接を攻略するために知っておきたい基本的な知識【就活】
全農は、JAグループの経済事業において、全国段階を担う唯一の組織です。
このような全農の面接を攻略するためには、まず農畜産物を取り巻く環境を理解することが大切です。
続いて、全農とはどのような組織なのかを理解することも面接準備には必須です。
全農の概要、経営理念、事業計画など、面接での受け答えのためにぜひとも知っておいてください。
これら以外にも全農のホームページを隅から隅まで熟読することをお勧めします。
本記事の後半で全農の基本的な知識を簡単に紹介します。面接を受けるにあたり必要と思われるので、ぜひ読んでおいてください。
全農の面接攻略のまとめ【就活】
全農に入社を希望する人が、必ず通過しなければならない面接試験。面接ではどのようなことに気をつけなければならないのでしょうか?
全農が採用したい人材は、「農業への関心が高く、今後の日本農業の発展に尽力できる」「バイタリティ溢れた」「広い視野で職務を遂行できる」「.課題解決能力の優れた」人材です。
面接では学生時代に力を入れたこと、入会後のやりたい仕事の深掘りがあります。
面接で自己PRをするときのポイントとしては、以下があげられます。
- 課題解決力と行動力を自分の中で探してアピールする
面接で志望動機を伝えるときのポイントとしては、以下があげられます。
- なぜ全農を選ぶのか明確に伝える
- 全農で応募するコースを希望する理由と、そのコースで希望する部門や、やりたい仕事は何かを明確に伝える
- 農業に関する知識を得て質問に明確に答えられるようにする
- 全農の志望順位と他社の応募状況を答えられるようにする
面接を攻略するためには、まずは農業を取り巻く環境を理解することが大切です。
また、全農とはどのような組織なのかを理解することも面接準備には必須です。
全農に関する知識について、面接での受け答えのためにぜひとも知っておいてください。
以下のリンクも参照ください。
全農の概要
ここからは全農の概要を説明します。面接において志望動機を語る上で役に立ちます。
- 全農の正式名称は、全国農業協同組合連合会です。
協同組合とは、組合員の生活の向上をめざし、各人の自助と協同で「長期的」「多面的」「利他的」に事業を運営する組織をいいます。株式会社と異なり、非営利目的の組織です。
- 全農はJAグループの「経済事業」を担う唯一の全国組織です。
「経済事業」とは、農家が生産した農畜産物を販売する仕事(販売事業)と、農家に必要な資材を供給する仕事(購買事業)です。
これらの事業を、各地のJAと密接な活動を行う32の都府県本部と、全体的な企画・立案・実行を行う本所が連携しながら事業運営を行っています。
(8道県は、JA経済連が、7県は県JAが経済事業を展開しています。)
- 全農は、1972年全販連と全購連が合併し設立されました。
1977年に全国4,329の農協が全農への直接加入しました。その後各地の経済連と合併し現在に至っています。
- 全農の事業は、耕種、畜産、生活関連、グローバル、技術・研究開発の5つに分かれます。
耕種とは、米、麦、青果物など、農産物の生産から流通に関連するビジネスで、その業務は大きく購買と販売の2つに区分されます。
畜産は、飼料や素畜から食肉、鶏卵、牛乳・乳製品まで、畜産ビジネスを展開しています。
生活関連は、総合エネルギー事業とくらし支援事業の2つに大きく区分され、総合エネルギー事業では、石油、LPガス、電力の供給を行っています。
くらし支援事業ではAコープ運営、インターネット販売、JAブランド商品の開発等、多彩な事業活動を行っています。
グローバルでは、輸入において、北米、南米、ヨーロッパ、アジアにある16現地法人を通じて、肥料、飼料をはじめとした原料の長期安定的確保に取り組んでいます。
輸出にあたっては本所(国内)の輸出対策部を中心に活動に取り組み、輸出実務は子会社である全農インターナショナル(株)に集約し、現地での販売強化のため新規拠点を設置しています。
技術・研究開発では、畜産と耕種の2つの領域において、新技術の開発や様々な研究開発を行っています。
畜産分野では、飼料畜産中央研究所、家畜衛生研究所、ET研究所の3つの研究所において、革新的な商品や技術の開発、家畜の疾病対策、ET技術を用いた優良な和牛素牛の研究に取り組んでいます。
営農・技術センターでは、農業技術の研究・開発をはじめ、農産物や生産資材の検査からJAグループの人材育成などを行っています。
- 全農の組織概要は次の通りです。(2021年3月末)
出資金は、1,152億53百万円です。
職員数は、7,939名です。
事業総利益は、871億79百万円です。
事業利益は、△6億89百万円です。
経常利益は、66億95百万円です。
当期剰余金は、60億64百万円です。
総取扱高は、4兆3,326億円です。
事業別取扱高は、米穀農産事業6,572億円、園芸事業1兆1,255億円、営農・生産資材事業7,890億円、畜産事業1兆0,250億円、生活関連事業7,360億円です。
面接では、「協同組合とは何ですか」との質問があるかも知れません。理解しておきましょう。
全農の経営理念
全農の経営理念について紹介します。
経営理念
私たち全農グループは、生産者と消費者を安心で結ぶ懸け橋になります。
私たちは「安心」を3つの視点で考えます。
- 営農と生活を支援し、元気な産地づくりに取り組みます。
- 安全で新鮮な国産農畜産物を消費者にお届けします。
- 地球の環境保全に積極的に取り組みます。
面接では、「経営理念を知っていますか」と質問されるかも知れません。覚えておきましょう。
全農の事業計画
全農は、3か年事業計画(2019年度~2021年度)を策定し推進中です。ここでは、そのポイントを紹介します。
- JAグループを取り巻く事業環境の変化
- 農業人口の急速な減少と耕作放棄地の増加が深刻化しつつあり、一方で、農業経営における大規模な法人経営体数は増加
- 農業生産基盤の縮小にともないJA取扱高が減少しており、マイナス金利の長期化にともない、JAの信用・共済事業の収益力低下
- 消費は、単身・共働き世帯が増加するなか、中食・外食市場が拡大。また加工食品の原料原産地表示を義務化する制度が2022年4月に完全施行
- 日米物品貿易協定(TAG)、TPP11、日EU・EPA等、貿易の自由化が一層すすむことで国内農業への影響が懸念
以上の情勢をふまえ、「すべては組合員のために、そして消費者、国民のために」という基本姿勢のもと5年後、10年後を見据えた取り組みを展開
- 5年後、10 年後を見据えた全農のめざす方向性
- 農畜産物の品目別に戦略を策定し、国内生産量の拡大、食料自給率の向上に貢献
- 国内外のマーケットニーズをふまえ、付加価値の高い商品開発や、多様な販売チャネルを通じた消費拡大による、食のトップブランドとしての地位を確立
- 農村や中山間地域のライフラインを支える事業を強化し、インバウンド需要の取り込みや農泊事業等を通じて地方へ人と消費(需要)を呼び込み、元気な地域社会づくりを支援
- 飼料・肥料の調達力強化や、国内産地から海外の取引先までのサプライチェーンの構築による国産農畜産物の輸出拡大等、新たな海外戦略を構築
- 経営資源の最適配置を含め、全農グループの総合力発揮とグループ経営の確立、自己改革の加速化
- 最重点事業施策
- 生産基盤の確立のため、労働力支援の実践や農業ICT等の革新的技術の導入・普及、販売先を明確にした契約栽培の拡大、販売を起点とした生産提案、輸入農畜産物の国産化に向けた生産振興、これら施策を展開するための事業施設やソフトウェア等のインフラ整備
- 食のトップブランドとしての地位確立のため、消費者・実需者から選ばれる商品の提案、様々な企業との技術連携・業務提携、販売チャネルの多様化・拡大、事業施設やソフトウェア等のインフラ整備
- 元気な地域社会づくりへの支援では、中山間地域での持続可能なライフライン対策、直売所を併設した大型Aコープ店舗の出店拡大、電力事業の拡大やホームエネルギー事業の展開および営農用エネルギーのコスト削減
- 海外戦略の構築では、輸出競争力の強化、他国の農協組織や海外サプライヤー等との関係強化、原料・資材の調達力強化
- JAへの支援強化では、農家対応力の強化や販売力強化、物流合理化、拠点型事業の一体運営・受託、産地づくり等の支援、JAと全農の現場での自己改革の実行、JAへの人的支援をはじめとする総合的な支援の実施
面接で志望動機を伝えるときや、全農や農業についての理解度を試す質問に答えるとき、全農の事業計画を理解しておくことは必要です。