【2026年】小売業界に応募する時の面接で役に立つ基礎知識

2025.10.23 更新
次 » « 前
アイキャッチ画像

小売業界に応募する人が面接を受けるにあたって、必ず知っておいたほうが良い基礎知識があります。

これらの知識を持っていないと、面接での受け答えに困ってしまうことがあります。

特に志望動機を答える面接では、これらの知識がないと入社への本気度が伝わりません。

ここでは、小売業界を取り巻く環境や仕事など、小売業界に応募する人が面接で役に立つ基礎知識を紹介します。

ぜひこの記事を読んで、あなたの就活や転職の面接に役立ててください。

目次
  1. 小売業界とはどのような業界なのか
  2. 小売業界を取り巻く環境と課題
  3. コロナを契機にした小売業界のビジネスモデルの転換
  4. 小売業界の仕事
  5. まとめ

小売業界とはどのような業界なのか

メーカーが製造した商品を仕入れて消費者に販売する業界を流通業界と呼びます。

流通業界はその中で、メーカーから商品を仕入れて、複数の小売店に販売する卸売業界と、卸売業などから仕入れて一般の消費者に直接販売する小売業界とに分かれます。

小売業界はさらに、「百貨店」「スーパーマーケット」「コンビニエンスストア」「専門店」という4つのビジネスモデルがあります。

  • 百貨店

    百貨店は、20世紀初頭に創業した三越百貨店が始まりです。

    多岐にわたる商品を店頭に陳列して販売し、ほとんどが街なかの一等地に立地する都市型店舗で店も大型です。

    近年は、富裕層の高額商品購入やインバウンド需要に売り上げが大きく影響を受けています。

  • スーパーマーケット

    スーパーマーケットは、食料品を中心に日用雑貨類を販売するセルフサービス方式の小売業として、1960年代に誕生しました。

    大量仕入れやセルフサービスによる人件費の節約による販売価格の低廉化を図ることで、小売業界のシェアを高めてきました。

    その後は、店舗の大型化や取扱商品の増大などで百貨店を上回る規模となり、近年は、複合型ショッピングセンターの展開に積極的です。

  • コンビニエンスストア

    コンビニエンスストアは、英語の「convenience」(便利さ)」を由来とする小型のスーパーマーケットです。

    日本では1970年代に登場し、急成長を遂げました。

    住宅地や駅前、幹線道路沿いなどに立地し、年中無休、24時間営業など長時間営業を行っているのが特徴です。ただし、現在の人手不足の状況下、時短営業の動きもあります。

    大手では公共料金の振込から宅配便の取扱い、ゲームソフト販売、ATM、季節商品の販売などサービスが強化されています。

    コンビニエンスストアの経営形態には、直営チェーン店とフランチャイズ制によるものとがあります。

  • 専門店

    多岐にわたる商品を店頭に陳列して販売する百貨店やスーパーマーケット、コンビニエンスストアに対し、専門店は特定の領域のモノを扱っています。

    例えば、衣料品を扱うアパレル店、医薬品や化粧品を中心にそろえるドラッグストア、電化製品などを取り扱う家電量販店などがあります。

    専門店とは何か、業界を取り巻く環境についての基本は、ブログ記事「【2026年】専門店に応募する時の面接で役に立つ基礎知識」を参照ください。

面接で志望動機を語るさいに、小売業界とはどのような業界なのかを知っておくことは大切です。

小売業界を取り巻く環境と課題

小売業界を取り巻く環境と課題は、次の通りです。

  1. 百貨店
    • 2024年の百貨店業界の年間売上高は、前年比6.3%増の6兆3,282億円です。(経済産業省 商業動態統計 2025年4月)コロナ禍前の2019年を上回りました。 円安効果もあってインバウンド(訪日外外国人)客が増え、免税売上高が拡大しました。

      日本百貨店協会によると、2024年の全国百貨店の既存店売上高は前年比6.8%増です。商品別では身のまわり品が14.5%増だったほか、雑貨が12.8%増、衣料品が6.2%増と好調でした。家庭用品は1.4%増、食料品は0.6%減でした。雑貨のうち美術・宝飾・貴金属は16.5%増、化粧品は14.1%増となりました。

      2020年は新型コロナによる影響を大きく受けたことで、百貨店の売上は前期より27%減、5期連続の減少となりました。

      2021年は、コロナ禍前の2019年の80%程度にとどまりました。2022年は、2019年比89%と完全な回復には至りませんが、最悪期を脱しました。3月から行動制限の緩和によって外出の機会が増え、購買客数、売上ともに増加したのが主な理由です。

      2023年は2019年の6兆円まであと一歩と回復を見せていました。

    • 近年、富裕層やインバウンド需要に支えられてきた百貨店業界ですが、その恩恵は都市部や首都圏の店舗に限っています。

      地方や郊外店は恒常的な赤字で閉店が相次いでおり、百貨店業界は全体として縮小傾向にあります。 

      一方で、2022年には小田急百貨店新宿店本館が閉店、2023年には、渋谷の東急百貨店本店が閉店し、セブン&アイ・HDが「そごう・西武」を売却するなど、都市部で展開する百貨店も状況が変わりつつあります。

    • 近年、百貨店の売上は、2015年をピークに減少傾向にありました。そのため、場所貸しをして安定的な収入を得ることや、百貨店が商品企画や品ぞろえを決め、従来の売り場をより強化するなどの対策を講じていました。

      ですが、コロナ禍により集客が困難となり、アマゾンなどEC(ネット通販)も台頭してきたため、各社は対策の練り直しを迫られています。

      そのような状況下、百貨店各社がそろって注力しているのがデジタル事業です。EC(ネット通販)の台頭で、消費者の購買行動が変化しています。

      百貨店はこの変化に十分な対応ができず、ECで後れを取っていましたが、コロナ禍をきっかけにデジタル化を加速させています。

      百貨店はD2Cブランドとの協業を拡大し「売らない店舗」とも呼ばれる、ショールーミングストア事業を進めています。店頭には商品の見本のみを置き、ECで購入してもらうかたちです。

      また、収益力強化のため百貨店以外の事業にも取り組んでいます。

      三越伊勢丹HDは利便性向上のため、2020年三越と伊勢丹のECを統合し、『三越伊勢丹リモートショッピングアプリ』をリリースしました。オンライン上でチャットや接客、商品の購入、決済までを可能にした新たなサービスや、訪日外国人向けのアプリも開発中です。百貨店事業の強化を図りながら金融や不動産事業を強化し、将来は百貨店以外の事業の利益が半分以上を占めることを目指しています。

      高島屋はネット事業を成長分野と位置づけて、EC独自商品の開拓や販売チャネルの多様化でEC事業を拡大しています。2022年に新宿高島屋内にショールーミングストア「Meetz STORE(ミーツストア)」をオープンさせました。一方で、商業施設の開発の他、金融事業の基盤つくりなど、収益力強化と事業拡大に取り組んでいます。

      エイチ・ツー・オー・リテイリングは、投資計画を見直しデジタル事業の強化で人材育成を急いでいます。来店せずに商品を購入できるリモートショッピングサービス「Remo Order(リモオーダー)」ではビジネスモデル特許を取得しています。

      以上のように百貨店各社は、高品質な商品と品ぞろえの多さなど、百貨店の強みをいかして、ネットと実店舗の往来を促す「デジタルとリアルの融合」を掲げ、積極的なデジタル化を進めています。

      さらに、将来を見据え、百貨店以外の金融や不動産事業の利益を伸ばすことを目指しています。

  2. スーパーマーケット
    • 2024年のスーパーマーケットの販売額は、前年比2.6%増の16兆530億円でした。(経済産業省 商業動態統計 2025年4月)

      「店舗数」および「1店舗当たり販売額」ともに増加しました。商品別には「婦人・子供服・用品」等が減少したものの、「飲食料品」「その他の商品」等が増加しました。

      スーパーマーケットの販売額は2019年までは横ばいで推移していましたが、2020年は「巣ごもり消費」の恩恵をうまく享受して大幅増となりました。

      2021年・2022年も「巣ごもり消費」の恩恵を受けて、堅調に推移しました。ですが、前年と比較してほぼ横並びとなっており、コロナ特需の一服感が見られます。

      2022年からは経済活動の再開もあり、内食が減って外食の需要が増えたことの影響もあります。

      2023年以降もこの流れを引き継いでおり、円安による物価高もあり販売額は上がっていますが伸び率は弱くなっています。

      近年は、共働き世帯の増加や単身高齢世帯の増加に伴い、「お弁当・お総菜」のニーズが増えています。また、テレワーク普及等の新しいライフスタイルの定着もあり、このようなニーズを背景に、各スーパーともに惣菜・弁当部門を強化しています。

    • スーパーマーケット業界は、イオンとセブン&アイ・ホールディングスの2強体制となっています。

      イオンとセブン&アイ・HDは数兆円ほどの売上高を誇り、流通業界では圧倒的な規模を誇っています。スケールメリットを活かして仕入れコストを削減できるのが強みであり、そのために非常に強い価格競争力を持っています。

      2社の存在感が増々強まるスーパー業界ですが、その他の企業においても業界再編の動きが加速しています。2018年、アークスとバローHD、リテールパートナーズの3社が資本提携を結び、2019年には「日本スーパーマーケット同盟」を発足しました。

      「日本スーパーマーケット同盟」は今後も再編の軸となり、イオンとセブン&アイ・HDに次ぐ、第3の勢力となる可能性があります。

      一方で、2024年8月、セブン&アイ・HDは、カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けていましたが、2025年7月買収は撤回されました。

    • 近年スーパーマーケット各社が力を入れているのは、PB(プライベートブランド)の充実です。

      PBは卸売業者を通さず販売できるため、通常の商品に比べ5~10%ほど高い粗利益率を確保できるメリットがあります。

      また、原材料や製造方法、デザインなど、オリジナリティを持たせることができるために、企業ブランドの向上にもつながります。

      PBはスーパー側のメリットだけでなく、安くて良いものを求める消費者のニーズにも合致しているため、今後もさらなる普及が予想されます。

    • 2025年度の税制改正により、住民税および所得税に関連する年収の壁が引上げられ、労働力不足は一時的に解消するとみられます。一方で人材獲得競争は依然激しく、賃金上昇も続くと予想されるため、継続的に省力化へ取り組むことが重要と思われます。

      近年は、AIを活用した自動発注システムの導入で、業務効率化を図りつつ需要予測の精度を向上させることや、顧客自身で商品のバーコードをスキャンさせるスマートショッピングカートにリアルタイム広告を表示させるといったような、省力化と売上拡大の両方を狙う動きもみられます。

  3. コンビニエンスストア
    • 2024年のコンビニエンスストアの販売額は前年比1.2%増の12兆8887億円でした。「店舗数」はわずかに減少しましたが、「1店舗当たり販売額」は4年連続の増加となりました。(経済産業省 商業動態統計 2025年4月)

      「店舗数」はわずかに減少しましたが、「1店舗当たり販売額」は4年連続の増加となりました。商品別販売額では、「サービス売上高」は減少しましたが、「加工食品」「非食品」などが増加しました。

      コンビニエンスストアの販売額は、2011年から2019年にかけて増加傾向にありましたが、2020年は減少し、2021年も前年比1.0%増と横ばいでした。2022年は同3.7%増、2023年は同4.4%増でした。

      2024年も引き続き回復傾向にあります。

      コロナ禍の影響では、外出自粛の影響は相対的に小さく、有事に強いとみられていたコンビニは意外と苦戦しましたが、2022年以降は経済活動再開の動きや、訪日外国人の利用も増えるなど回復傾向にあります。

    • ビジネスパーソンのテレワークの影響もあり、オフィス街でのランチの減少などが大きく影響する一方で、住宅街のコンビニの利用は増えるなど、利用者の行動が大きく変化しています。こうした状況から、訪日外国人の利用も増加するなかで、コンビニエンスストア各社は収益確保へ新たな取り組みを始めています。

      セブンイレブンでは、100円ショップのダイソー商品の導入や、各店舗のニーズに合わせ、商品構成やレイアウをト変更しています。最短30分で届けるデリバリーサービス「7NOW(ネットコンビニ)」は、25年2月に全店展開を完了しました。

      ローソンでは冷凍食品の品揃えと、店内厨房の導入店舗を推進し、また調剤併設や日用品を取り扱うヘルスケア強化型店舗も展開し始めています。

      ファミリーマートでは、無人決済店舗やデジタルサイネージ、ファミペイなど、金融やデジタル広告などの新ビジネスで収益化に取り組んでいます。

    • コンビニエンスストア各社は、店舗数を増やす中で、少子高齢化や女性の社会進出、ライフスタイルの変化に対応した調理品などの商品開発に注力してきました。

      このように新規出店の「量」と商品開発による「質」を追求し、これまで業績を拡大してきましたが、成長は鈍化しつつあります。

      国内のコンビニ店舗数について、都市部ではすでに飽和状態にあり、新規出店の余地が少なくなっています。そこで、コンビニ各社は海外展開を加速しています。

      北米地域や経済成長が期待される東南アジアを中心に出店が加速するものと見られ、コンビニ各社の世界進出への動向にも注目です。

  4. 専門店

    ■家電量販店

    • 家電量販店の2024年度の売上は、対前年比3.5%増の4兆7,917億円でした。(経済産業省「商業動態統計2025年4月」)

      コロナ禍での巣ごもり需要によるテレビやパソコン需要が一巡し低迷していますが、エアコンなどの「生活家電」や「情報通信機器」、「音響映像商品」、家電以外の「その他商品」(医薬品、酒類、寝具など)の売上が好調でした。

    • 差別化が難しい家電量販店は、価格競争と店舗拡大により規模を大きくしてきましたが、市場は成熟化し、大きな伸長が見込めない踊り場を迎えています。長期的な人口減少や世帯数の減少が大きな影を落としています。

      近年では、ネット通販の拡大による市場パイの減少、実質賃金低下や物価上昇による生活防衛意識の高まりなどで市場環境は厳しさを増しています。さらに、「コト消費」の拡大など消費者ニーズの変化も見られます。コロナ禍の需要は一巡したと見られており、「新規出店による拡大」といった従来のビジネスモデルが通用しなくなっています。

    • こうした傾向を受け、家電量販店大手各社は将来への布石を模索しています。

      家電販売だけでは成長が難しいと判断して、「脱家電」を掲げ、住宅リフォームや家具、家具・家電の複合型店舗、ECサイト強化、携帯キャリア事業進出など、事業の多角化を進める戦略が加速しています。

      ヤマダは家電だけでなく、家具、リフォーム商材などを扱う「LIFE SELECT」業態を展開し、全国に店舗を拡大しています。

      ヨドバシカメラは、ECサイトに強みを持っており、EC事業を拡大しています。

      ノジマは、携帯電話販売大手のコネクシオを連結子会社化し、携帯キャリア運営事業の売上が大幅に伸長しました。

      エデイオンは、家電と家具の融合を図るべく、ニトリと提携して連携を進めています。

      生産性向上の取り組みも相次いでいます。ビックカメラやエディオンはPOSや基幹システムと連動することで、本部が価格を一括で変更することができる「電子棚札」を導入開始しました。

      売上が頭打ちの家電量販店にとって、新たなビジネスモデルの構築は大きな課題となっています。

    ■ドラッグストア

    • ドラッグストアの2024年の売上は、対前年比6%増の9兆円でした。(経済産業省「商業動態統計2024年4月」」

      引き続き旺盛な出店と食品の値上げを主な要因とし、インバウンド需要の伸長等による化粧品売上の増加や、各社で調剤薬局の併設が進んだことによる調剤医薬品売上の増加等も市場拡大を後押ししました。

    • ドラッグストアの販売額は、店舗数の増加に比例しています。一方、店舗数の増加に伴い競争は激しさを増し、赤字店舗の増加によって収益性が低下しており、再編の動きも活発化しています。

      2021年10月、マツモトキヨシHDとココカラファインが経営統合し、「マツキヨココカラ&カンパニー」が誕生しました。

      2025年12月にツルハHDとウエルシアHDの経営統合が完了し、売上高2兆円、店舗数5,600超の巨大ドラッグストア企業が誕生します。

      このような大手同士の連携や中堅・中小ドラッグストアの買収等、スケールメリット拡大に向けた動きは今後も続くとみられます。

      更に、生鮮食品や惣菜の取扱いを強化するための食品スーパーの買収や、調剤市場におけるシェアアップを目指した調剤薬局の買収等、業界の垣根を超えたM&Aも進むものと思われます。

    ■ホームセンター

    • ホームセンターの2024年の売上は、対前年比1.73増の3兆3,987億円でした。(経済産業省「商業動態統計2024年4月」

      ホームセンターの販売額の推移を見ると、2019年までは横ばいで推移し、2020年はコロナ特需で増加に転じました。2021年・2022年は2年連続で減少し、2023年は微減でした。中長期的には横ばいで推移しています。

      分野別では「DIY用具・素材」が最も多く7,740億円、以下「家庭用品・日用品」が7,357億円、「園芸・エクステリア」が5,206億円となっています。

    • 近年、ホームセンター業界は新規出店で事業を拡大してきましたが、ここ数年は店舗増加や異業種との競合により飽和状態です。

      オンライン通販企業(Amazon、モノタロウ)や、ニトリ、良品計画などの専門店、ドラッグストアとの競争が激しく、一部の市場を奪われています

      さらに今後は人口減少により市場縮小が予測されます。

      大手企業を中心として業界再編が進み、M&A、独自性の高いプライベートブランド(PB)開発、プロ向け事業の強化、EC(電子商取引)、異業種との連携など、生き残りをかけた多様な戦略を展開しています。

      2022年3月にはカインズが東急ハンズを完全子会社化しました。

    ■家具・インテリア

    • 家具・インテリア業界の主要7社の2024年度売上高合計は、前年比31%増でした。(日経コンパス 2025年8月)

      単身世帯の増加に伴い、省スペース化や機能性に優れた実用的な家具への需要が高まっており、EC市場(BtoC-EC)の成長も業界全体を牽引しています。

    • 家具・インテリアの小売業者には、内外の家具・インテリアのメーカー・卸から商品を仕入れて販売する専門店や、ホームセンター、製品企画から販売までを自社で手がけることで価格競争力を高めたSPA(製造小売リ)チェーンがあります。

      このうちSPAチェーンは、品ぞろえの豊富さとともに手頃な価格を求める消費者ニーズに応える形で台頭し、国内市場をリードしています。

      SPAチェーンの代表格が国内売上高1位のニトリホールディングス(HD)や2位のイケア・ジャパンです。ニトリは物流、IT(情報技術)も重視した「製造物流IT小売業」を標ぼうし、中間コスト削減を徹底しています。

    • 家具・インテリアEC市場は成長を続け、EC化率も上昇しています。消費者が自宅にいながら家具を購入する機会が増え、AR/VRを活用したバーチャルショールームの導入や、配送・組み立てサービスの充実、カスタマイズオプションの提供など、オンラインでの顧客体験向上に向けた取り組みが進んでいます。ECチャネルの重要性は今後ますます高まっていくものと思われます。

      また、成長が見込める東アジアや東南アジアなど、グローバル展開を積極的に進めるニトリや良品計画が業績を伸ばしており、グローバル化と事業領域の拡大が成長のカギとなっています。

    ■アパレル

    • 2024年のアパレル業界は、猛暑の影響で秋冬物が伸び悩む一方で、ファーストリテイリングや良品計画、しまむらなどの大手は「機能性商品」の販売や「EC強化」で増収・増益を達成しました。

      特にしまむらはPB拡充や価格戦略で売上と利益の過去最高を更新し、オンワードホールディングスは猛暑に対応した機能性商品の販売やクリック&トライなどのOMOサービスが成果を上げました。

    • アパレル企業を取り巻く経営環境は、19年10月の消費税増税、それに続く暖冬、20年からの新型コロナ禍で激変しました。2021年から2023年にかけて3年連続で売上が拡大し、2024年もコロナ禍前の水準に向けて回復を続けている状況です
    • コロナ禍の期間中には、自社サイトで直接消費者と取引するD2Cファストファッション業者の台頭などにより、EC販売の市場が急速に拡大しました。

      また、ハイブランドの高価格帯を除き、アパレル小売業は値引きやセール販売が慣習化し薄利多売の傾向にありましたが、流通コストの削減や需要に合った商品投入などを進め、収益向上に舵を切る企業も増加しています。

      一方で、長引く円安や原材料価格高騰による仕入価格の上昇、賃上げや人手不足など、アパレル小売業のコストアップ要因は解消していません。

      大手がSPA(製造小売業)体制による流通コスト削減や、EC対応により堅調に業績を伸ばす一方、EC対応への投資が進まない企業やスケールメリットの恩恵にあずかれない小・零細企業は、アフターコロナでも引き続き厳しい事業環境に置かれています。

    • オンワードなど、クリック&トライなどのOMO(Online Merges with Offline)サービスの拡大が増収に貢献する企業も見られました。

      消費者はオンラインとオフラインの利便性を両立させたいというニーズを持っており、より便利でパーソナライズされたサービスを求めています。スマートフォンの普及やモバイル決済の進展など、デジタル技術が生活に深く浸透したことで、OMOサービスのようなオンラインとオフラインの一体化が容易になりました。今後に要注目です。

面接では、「小売業界の課題は何だと思いますか」と質問されるかも知れません。また小売業界でも業態は様々であり、面接ではその業態に特有の質問があります。

コロナを契機にした小売業界のビジネスモデルの転換

コロナ感染拡大を経て大きく変容した人々の消費行動は、コロナの脅威が薄れてもコロナ前には戻りそうもありません。

リモートワークの定着や、外食機会の減少、ECやデリバリーの利用などは、コロナ禍での3年あまりの月日で人々の生活にすっかり根付きつつあります。

一方で消費者の行動で大きく変化しているのが節約志向の高まりです。ウクライナ情勢に端を発して、原材料費や燃料費などの各種コストが増加しました。これにより家庭の光熱費が高騰し、同時にメーカー各社が一斉に値上げを行ったことから、消費者の生活防衛意識が高まっています。2024年秋以降のコメの販売価格の高騰は社会問題となりました。

このようにコロナ収束下での消費行動の変化や、各種コスト増などの外部環境の変化を受けて、好調な業態、不調な業態と明暗が分かれています。

小売業界はこれまでビジネスモデルの見直しなどを進めてきましたが、新型コロナウイルスにより、ビジネスモデルの転換の加速を迫られています。

小売業界の各社が取り組んでいる電子商取引(EC)や、店舗の競争力を高めるための製造や物流を含めたITの活用など、ビジネスモデルの転換が加速することが予想されています。

また、小売業界は業態の垣根を超えた競争に突入しており、これまで以上に他社との連携や協業などにより競争力向上を図る動きも増えるでしょう。

コロナ禍を契機に加速し始めたビジネスモデルの転換は多くの企業で進む方向にあり、これをいかに上手に乗り切るかが今後の企業の成長を大きく左右するとみられます。

面接では、「今後も成長を維持するためにはどうしたら良いと思いますか」といったような質問がされるかも知れません。

小売業界の仕事

百貨店やスーパーマーケット、コンビニエンスストア、量販店など小売業は、顧客のライフスタイルに合わせた価値ある商品・サービスを常に提供し続けることが仕事です。

小売業界に特徴的な職種として、販売職をはじめ、店長やバイヤー、商品開発、販売支援、物流管理などがあります。

販売職は、来店客のニーズを知り、顧客にあう商品を提案したり売ったりする仕事です。

店長は、店舗のリーダーとして、店舗運営や社員の管理・育成などを担当し、受発注管理などを行います。

バイヤーは担当する商品の選定や仕入、買付け、新規ルートの開拓などを行う仕事です。

商品開発は、百貨店やスーパーが、PB商品などを企画する仕事です。

販売支援は、マーケティング戦略の立案、店舗レイアウトの変更、新規出店計画、イベント・キャンペーンの企画・運営、広告やチラシの企画・作成などを行います。

物流管理は、商品の物流や在庫を管理します。これから店舗とインターネットの両方で販売する企業が増えることが想定され、在庫管理は複雑になります。

また、通販の場合は商品の届く速さと正確さも重要になり、物流管理は、今後ますます重要になります。

これら以外にも、事務職種として総務、人事、経理、経営企画などがあります。

小売業界ではどのような仕事があるのか、仕事内容をしっかり理解していることが、面接で志望動機を答えるときに重要です。

また、事前に十分把握していると、面接で希望する仕事を訊かれたときに役に立ちます。

まとめ

小売業界の各社に応募する人は、小売業界の基礎知識を身につけて、面接での志望動機を語る際などに役立ててください。

また、面接における質問に答えるときにも、本記事で紹介したような知識が大切になります。

この他にも業界の知識を積極的に吸収することが、面接の対策として必要です。

加えて、面接対策(まさに、これこそが重要!!)を完全にしたい就活生や転職希望者のために、キャリア育みファームでは必勝マニュアルの販売を行っています。役に立つこと請け合いです。

マニュアルに沿って面接対策を進めることで、ライバルからグンと抜け出すことができます。詳細については以下のページをご覧ください。

小売業界各社の具体的な面接対策については以下の記事を参考にしてください。

0 件のコメント

お気軽にコメントください
新しいコメント
はい
いいえ
OK