【2025年】鉄鋼業界に応募する時の面接で役に立つ基礎知識
鉄鋼業界に就職や転職の応募をする人が面接を受けるにあたって、必ず知っておいたほうが良い基礎知識があります。
これらの知識を持っていないと、就職や転職の面接での受け答えに困ってしまうことがあります。
特に志望動機を答える面接では、これらの知識がないと入社への本気度が伝わりません。
ここでは、鉄鋼業界を取り巻く環境や仕事など、鉄鋼業界に応募する人が就職や転職の面接で役に立つ基礎知識を紹介します。
ぜひこの記事を読んで、あなたの就活や転職の面接に役立ててください。
鉄鋼業界とはどのような業界なのか
鉄鋼業界とは、主に自動車業界や建設業界等に向けの鉄鋼や特殊鋼材などの生産を行っている業界のことを指します。
鉄鋼業界に属する企業は高炉系、特殊鋼・ステンレス系、電炉系、鋼材加工系に分けられます。
- 高炉系とは、高炉で鉄鉱石を原料として銑鉄を生産するところから、最終製品の製造までを一つの敷地内で行う銑鋼一貫製鉄所を所有する大規模な鉄鋼メーカーを指します。
高炉系は、日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所の3社です。
- 特殊鋼・ステンレス系とは、鉄スクラップを原料として高度な合金設計がなされた自動車部品、工具鋼などの鋼種を電気炉で生産する鉄鋼メーカーを指します。
特殊鋼とは、鉄に炭素以外のクロムやニッケルなどさまざまな元素を加えた合金鋼のことです。
ステンレスとは、クロムが11%以上入っている「錆(さび=Stain)ない鋼」のことです。
プロテリアル、大同特殊鋼などのメーカーがあります。
- 電炉系は、鉄スクラップを原料として電気炉で鉄鋼を生産する鉄鋼メーカーを指します。
一般に棒鋼(鉄筋)、形鋼、平鋼、鋼板を主力製品とする普通鋼を生産するメーカーを電炉メーカーとしています。
東京製鐵、中山製鋼所などのメーカーがあります。
- 鋼材加工系とは、鋳造あるいは鍛造によって複雑な形状を持つ鉄鋼部材を生産する鉄鋼メーカーのことを指します。鋳鍛鋼系とも言えます。
原料となる鋼は一般に電気炉で生産されますが、材料が普通鋼から特殊鋼まで幅広く含み、かつ生産方法が鋳造あるいは鍛造であることから、高炉系、特殊鋼・ステンレス系、電炉系と区別しています。
トピー工業、日本製鋼所などのメーカーがあります。
面接では、「高炉系と電炉系の違いがわかりますか」といった質問がなされるかも知れません。覚えておきましょう。
鉄鋼業界を取り巻く環境と課題
- 2023年の世界粗鋼生産量は前年の18億7,850万トンからほぼ横ばいの18億8,820万トンでした。(世界鉄鋼協会 2024年1月)
最大生産国である中国の生産量は、10億1,910万トンと、前年比0.1%増にとどまりました。不動産不況が続き、鋼材需要が低水準で推移したのが原因です。
世界2位の生産国であるインドは、インフラ向けの鋼材販売が好調で同11.8%増の1億4020万トンでした。
3位の日本は、自動車向けは回復したものの人手不足による工期の遅れで建設向けの鋼材需要が減ったほか、中国の不動産不況で鋼材輸出も停滞した結果、同2.5%減の8,700万トンでした。
2024年は、中国の需要は横這いを見込むものの、インドを中心とした新興国の高成長を背景に、世界鋼材需要は前年比増加するとみられています。
- 日本の鉄鋼業の強みは高級鋼材の高張力鋼(ハイテン)で、中国や韓国メーカーと比べて製造技術が優れています。
高張力鋼は、自動車のシャシやモノコックといった主要構造部材や鉄道車両などに使用されています。
日本国内では、東京五輪関連の需要は終了しましたが、これからも都市再開発や大阪万博、インフラの老朽化対策、災害復興といった建設や設備関連の需要を見込んでおり、各企業はその需要を取り込もうとしています。
- 2021年10月に、経済産業省は2050年までの脱炭素技術の実用化時期を示した鉄鋼技術ロードマップを公表しました。
高炉メーカーは、需要拡大が見込まれるグリーンスチール製造技術を世界に先駆けて確立するため、積極的に技術開発に取り組もうとしています。
ですが、グルーンスチール実現には、脱炭素電源や水素インフラの整備に加え、多額の研究開発費・設備投資が必要であるために、電力業界との連携や国の積極的な支援も必要になるとみられています。
- 長期的には、国内市場は都市部での再開発などの需要はありますが、人口減少による需要減少という課題を抱えています。一方、世界の鉄鋼生産量は新興国の成長によりこれからも伸びていくことが予測されます。
大手鉄鋼メーカーは、海外事業を今後、さらに拡充することを掲げています。インドなどのアジア地域が成長するとして、高級鋼材やEV向け無方向性電磁鋼板などの輸出拡大、現地での生産体制の強化に動いています。
また日本の鉄鋼メーカーは世界最高水準の省エネ技術で環境対策に取り組んでいることが高く評価されており、省エネ技術を輸出することも考えられます。
面接では、「日本の鉄鋼業の強みを知っていますか」との質問があるかも知れません。
主要鉄鋼メーカーの特色について
続いて鉄鋼メーカーの大手4社についてその特色を解説します。
- 日本製鉄は、国内第1位、世界第4位の鉄鋼・高炉メーカーで新日本製鉄と住友金属が合併して誕生した会社です。
船舶や大形構造物に使用される厚板、自動車・電気製品などに使用される薄板・表面処理鋼板、建築・土木分野で使用される建材、自動車部品や建築物に使用される棒鋼・線材、エネルギー分野や機械部品などに使用される鋼管を主に製造しています。
鉄道用車輪・車軸において日本国内シェアほぼ100%を誇っています。チタンやステンレス鋼の製造も行っています。
- JFEスチールは、国内2位の鉄鋼・高炉メーカーで、日本鋼管と川崎製鉄が経営統合して誕生した会社です。
鋼材では、厚板、薄板・表面処理鋼板、電磁鋼板、形鋼、棒鋼・線材、鋼管が主な製品です。鋼材以外では、粉末冶金などに使用される鉄粉、チタン圧延品の製造も行っています。
高い技術力を持ち、鉄鋼業界の課題であるエネルギーや資源リサイクルの技術などの幅広い分野にも力を入れるなど、環境対策にも積極的に取り組んでいます。
社会との関わりを大切にしている会社です。
- 神戸製鋼は、国内3位の高炉メーカーです。
大手鉄鋼、高炉メーカー3社の中では最も鉄鋼事業の比率が低く、素材部門・機械部門・電力部門の3本柱とする複合経営を行っています。売上規模よりも付加価値の高い商材の開発に注力しています。
素材部門では自動車向け線材や高張力鋼板(ハイテン)に強みを持ち、鉄粉、船舶用の組立型・一体型クランクシャフトで高いシェアを持っています。
アルミ、チタン、銅など複数の金属素材も手掛けており、世界に類を見ない複合素材メーカーです。
機械系部門は機械、エンジニアリング、建設機械を手がけています。電力部門は製鉄所での自家発電操業を起源とする電力卸供給事業を展開しています。
近年はアルミや機械、電力など鉄鋼以外の分野への注力が目立ち、「鉄鋼メーカー」から、「鉄鋼も手掛けるメーカー」へのシフトを目指す姿勢が鮮明となっています。
- プロテリアルは、国内4位の鉄鋼・電炉メーカーです。
日立製作所が全額出資して日立グループの鉄鋼業・金属部門を統合分立させた日立金属が、2023年1月に、米投資ファンドのベインキャピタルが主導する日米の企業連合に売却されて社名変更し誕生しました。
特殊鋼・エコ製品を核とした高性能鉄鋼材料に特化した総合素材メーカーで、主力製品は高級工具鋼(YSSヤスキハガネ)、インバー合金等の金属製品、高級自動車部材、磁性材料、鉄鋼用ロール配管製品、電子部品などです。
2013年の日立電線との合併により、鉄道車両用電線・ケーブルや医療機器用電線、自動電装用部品、ブレーキホースなども製品群に加わりました。
面接で志望動機を語るさいは、各社の特色を知っておくことが大切です。
鉄鋼業界の仕事
鉄鋼業界特有の仕事は、研究開発、生産関連、営業、調達があります。
- 研究開発では市場のニーズに応じた新製品開発に向けて、鉄鋼素材や最先端技術の研究開発を行っています。
- 生産関連では、生産技術、品質管理、設備技術、生産管理などがあります。
生産技術では、製品の品質や機能を保ちつつ、低コストで安定的な操業を実現するための加工技術や形状制御技術の開発を担当します。
品質管理では、製品の品質チェックや改善テストなどを行います。
設備技術では、高炉メーカーなら、大規模な設備の建設から保全までの全てを担っています。
生産管理では、スケジュール作成、進行管理、在庫管理、資材の発注、納期対応などを行っています。
- 営業では市場や国内外のメーカーや建設会社などの顧客のニーズを把握し、製造ラインと連携しながら製品を供給していきます。
- 調達は鉄鋼製品を製造するために必要な原料の買い付けを行います。
高炉メーカーの場合、船舶の手配といった輸送管理や、良質な原料を安定的に製造ラインに供給するための投資プロジェクトに参加することもあります。
電炉メーカーでは、くず鉄の購入を行い、高品質な製品を安価で届ける役割を担っています。
これら以外にも管理業務として、総務、人事、法務、経営企画、財務などの職種があります。
鉄鋼業界ではどのような仕事があるのか、仕事内容をしっかり理解していることが面接で志望動機を答えるときに重要です。
また、事前に十分把握していると面接で希望する仕事を訊かれたときに役に立ちます。
まとめ
鉄鋼業界の各社に応募する人は、鉄鋼業界の基礎知識を身につけて、面接での志望動機を語る際などに役立ててください。
また、面接官からの質問に答えるときにも、本記事で紹介したような知識が大切になります。
この他にも業界の知識を積極的に吸収しましょう。
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鉄鋼業界各社の具体的な面接対策については以下の記事を参考にしてください。