【転職】口頭による退職は効力あり?伝え方と注意点
「退職したいと上司に口頭で伝えたけれど、効力はある?」
「転職先が決まったので退職したいが、退職届を出す前に口頭で伝えても大丈夫?」
「円満退職するには、どのように伝えればいい?」
このような疑問を持つ人は少なくありません。
”結論からいうと、退職の意思表示は、必ずしも書面で行わなければならない
わけではなく、口頭でも効力が認められる場合があります。”
ただし、「口頭で伝えれば必ず退職できる」という意味ではありません。
退職には、会社と合意して退職する「合意退職」と、
労働者が一方的に雇用契約を終了させる「辞職」があり、法的な扱いが異なります。
また、無期雇用か有期雇用か、就業規則にどのような退職手続きが
定められているかによっても注意点が変わります。
厚生労働省も、退職願による合意退職と辞職を区別して説明しています。
そのため、円満退職を目指すなら、”口頭で退職の意思を明確に伝えたうえで、
会社のルールに従って退職届などの書面を提出する”のが実務上おすすめです。
この記事では、人事担当者の実務経験をもとに、退職を口頭で伝える場合の効力、
退職届との違い、円満退職の伝え方、転職時の注意点、よくある失敗例まで
わかりやすく解説します。
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口頭による退職の意思表示は効力がある?【結論】
- 口頭でも退職の意思表示の効力が認められる場合がある
退職の意思表示は、必ずしも書面で行わなければならず、
口頭では効力がないというわけではありません。そのため、期間の定めのない雇用契約で働く人が、
本人の真意に基づいて退職する意思を明確に伝えた場合、
口頭であっても状況によっては退職の意思表示として効力が認められる可能性があります。厚生労働省も、
退職届は本人の退職意思を示す書類として一般的に使用されている一方、
退職の意思表示自体は書面に限られるものではないと説明しています。ただし、口頭で伝えた内容が、「仕事を辞めようかと思っています」なのか、
「○月○日をもって退職します」なのかによって、
意味合いは大きく異なります。退職する意思が固まっているなら、「相談」ではなく
「退職の意思」であることが分かる話し方をすることが重要です。 - 「合意退職」と「辞職」を区別する
口頭による退職での効力を理解するために、
知っておきたいのが「合意退職」と「辞職」の違いです。合意退職とは、労働者と会社の双方が退職について
合意して雇用契約を終了するものです。一方、辞職とは、期間の定めのない雇用契約について、
労働者が一方的に退職の意思を表示するものです。民法627条では、期間の定めのない雇用契約について、
原則として退職の申入れから2週間を経過することで
雇用契約が終了するとされています。つまり、口頭による退職での効力を考えるときは、
「口頭か書面か」だけで判断するのではなく、
“どのような退職の意思表示をしたのか”を見る必要があります。
口頭による退職で効力を左右する3つのポイント
- 無期雇用か有期雇用か
正社員などの期間の定めのない雇用契約と、
契約社員などの期間の定めのある雇用契約では、退職のルールが異なります。無期雇用の場合、民法627条により原則として2週間で退職となります。
一方、有期雇用の場合は、契約期間の途中で自由に退職できるとは限りません。
まず雇用契約書などで契約期間を確認しましょう。 - 「辞めたい」なのか「退職する」なのか
口頭による退職で効力を考える際、実務上とても重要なのが発言内容です。
例えば、
- 「辞めたいと思っています」→相談と受け取られる可能性がある
- 「退職を考えています」→意思がやや曖昧
- 「○月○日をもって退職します」→意思が明確
という違いがあります。
人事担当者の立場では、本人の発言だけでなく、
その前後の会話や退職届の提出状況なども含めて、
本人がどのような意思で話したのかを確認することになります。 - 就業規則にどのような定めがあるか
会社の就業規則には、
退職について「退職希望日の○日前までに申し出る」「退職届を提出する」
などのルールが定められていることがあります。法律上の退職の効力と、
会社内で必要な退職手続きは分けて考えることが重要です。したがって、
退職を口頭で伝える前に就業規則を確認しましょう。
口頭による退職と退職届・退職願の違い
退職を考えたとき、「口頭で伝えるだけでいいのか」
「退職願や退職届が必要なのか」と迷う人も多いでしょう。
一般的には、次のように考えると分かりやすいでしょう。
種類 一般的な意味
………………………………………………………
口頭 上司に退職意思を知らせる
退職願 会社に退職を願い出る書類
退職届 退職することを届け出る書類
ただし、退職願と退職届は会社によって運用が異なる場合があります。
また、書類のタイトルだけで法的な効果が決まるわけではありません。
記載内容や本人の意思などを踏まえて判断される場合があります。
(厚生労働省)
そのため、会社指定の書式がある場合は、
自己判断せず人事担当者に確認するのが安全です。
退職を口頭で伝えるメリット
- 上司と退職日を相談できる
口頭で伝えることで、退職日や引き継ぎについて直接話し合えます。
特に円満退職を目指す場合は、
- 退職希望日
- 最終出勤日
- 有給休暇
- 引き継ぎ期間
などを早めに相談することが大切です。
- 退職理由を自分の言葉で説明できる
転職が理由なら、
「これまでの経験を生かして、新しい仕事に挑戦したいと考えています」
など、前向きな理由を話せます。会社への不満を一方的に並べるより、
円満な話し合いにつながりやすくなります。 - 引き継ぎへの姿勢を伝えられる
人事担当者の視点では、退職理由だけでなく、
“退職日まで責任を持って仕事を整理する姿勢があるか”も重要です。「後任への引き継ぎ資料を作成します」「担当案件を整理しておきます」
など、具体的に話すとよいでしょう。
退職を口頭で伝えるデメリット
- 「言った・言わない」になりやすい
口頭だけでは記録が残りません。
本人は正式に退職を申し出たつもりでも、
上司が「退職について相談された」と認識している可能性があります。これが退職日のトラブルにつながることがあります。
- 引き止めが長引く可能性がある
「もう少し考えてほしい」「待遇を改善する」
といった引き止めを受ける場合があります。退職を決めているなら、
「お気持ちはありがたいのですが、十分に考えたうえで決めたことで、
退職の意思は変わりません」と落ち着いて話しましょう。
- 退職手続きが進まない可能性がある
口頭で伝えた後、会社所定の退職届を提出しなければならない
ケースもあります。「口頭で伝えたから手続きは完了」と考えず、
次に何をすればよいのか上司や人事担当者に確認しましょう。
円満退職するための口頭での伝え方【5ステップ】
■STEP1:直属の上司に時間を取ってもらう
いきなり人事や上司の上司に退職を話すのではなく、
まず直属の上司に話すのが基本です。
「お話ししたいことがありますので、少しお時間をいただけますか」
と言い、落ち着いて話せる場所を設定してもらいましょう。
■STEP2:退職意思を明確に伝える
最初に結論を伝えます。
「突然で申し訳ありませんが、十分に考えた結果、
○月○日をもって退職することを決めました。」
これなら、相談ではなく退職意思を知らせることが分かります。
■STEP3:感謝を伝える
続いて、これまでお世話になったことへの感謝を話します。
「これまで多くの経験をさせていただき、本当にありがとうございました。」
退職理由が会社への不満であっても、
口頭での退職交渉では感情的な批判を避けたほうがよいでしょう。
■STEP4:退職日と引き継ぎを相談する
次に、
- 退職日
- 最終出勤日
- 引き継ぎ
- 有給休暇
- 退職手続き
を確認します。
転職先が決まっている場合は、入社日との調整も必要です。
■STEP5:書面を提出して記録を残す
会社所定の退職届がある場合は、指示に従って提出します。
口頭での意思表示だけに頼らず、
書面で記録を残しておくことがトラブル防止につながります。
転職先が決まった場合の退職の伝え方
転職先が決まった人は、
現在の会社と転職先のスケジュールを同時に考える必要があります。
おすすめは、
転職先の入社時期を確認 → 現在の会社の就業規則を確認 →
直属の上司に退職意思を伝える → 退職日・引き継ぎを調整 →
退職届を提出 → 転職先へ入社
という流れです。
特に注意したいのが、“「法律上は2週間」と「円満退職に必要な期間」”
は違うという点です。
無期雇用の場合、民法上は原則として2週間で退職できる一方、
引き継ぎや社内手続きには時間がかかります。
転職先が決まっているからといって、
現在の会社に突然「2週間後に辞めます」と知らせるのではなく、
就業規則を確認して余裕を持って準備するほうが円満退職につながります。
人事担当者が教える「円満退職できる人」の特徴
ここは、一般的な法律解説にはない人事担当者の視点です。
人事担当者から見ると、円満に退職する人には共通点があります。
- 円満退職しやすい人
- 早めに退職の意思を伝える
- 退職日を明確にする
- 引き継ぎを自分から準備する
- 必要書類を速やかに提出する
- 最終日まで責任を持って働く
- 周囲への感謝を忘れない
反対に、
- トラブルになりやすい人
- 同僚に先に退職を話す
- いきなりメールだけで退職を伝える
- 上司を飛ばして人事にだけ伝える
- 引き継ぎを拒否する
- 会社や上司を強く批判する
- 転職先の入社日を理由に一方的な調整を求める
といった傾向があります。
法律上の退職の効力と、円満退職できるかどうかは別問題です。
退職できることだけを考えるのではなく、
「最後までどのように働くか」まで考えることが大切です。
退職を口頭で伝えるときの失敗例
■失敗例1:「辞めたいと思っています。」と言う
「辞めたい」という表現では、
上司から「もう少し考えてみたら」と受け取られる可能性があります。
改善策:
「十分に考えた結果、○月○日をもって退職することを決めました。」
と明確に言いましょう。
■失敗例2:転職先の入社日を先に確定する
現在の会社との調整前に転職先の入社日を決めると、
退職日との間に問題が生じる可能性があります。
改善策:
転職先には現在の会社の退職時期を確認したうえで、入社日を調整しましょう。
■失敗例3:会社への不満をすべて話す
退職理由を説明するために、
上司や会社への不満をすべて言う必要はありません。
改善策:
「新しい仕事に挑戦したい」「キャリアの方向性を変えたい」など、
必要な範囲で簡潔に説明しましょう。
■失敗例4:口頭で伝えただけで安心する
これは特に注意が必要です。
退職を口頭で伝えても、会社の退職手続きが完了するとは限りません。
改善策:
「次に必要な手続きは何でしょうか。」と人事担当者に確認しましょう。
退職を口頭で伝えた後にやること
退職意思を伝えた後は、次の手続きを確認しましょう。
- 退職届の提出
- 退職日の確定
- 最終出勤日の確認
- 有給休暇の確認
- 業務の引き継ぎ
- 会社からの貸与物の返却
- 必要書類の受け取り
- 社会保険・雇用保険関係の手続き
特に転職する場合は、
現在の会社の退職日と転職先の入社日が重ならないよう注意しましょう。
電話やメールで退職を伝える場合の注意点
基本的には、出社できる状況なら直属の上司に直接伝えるほうが
円満退職につながりやすいでしょう。
ただし、病気やけが、遠方への滞在など、
直接会うことが難しい場合は電話やメールで連絡するケースもあります。
その場合は、
「本日、退職の意思をお伝えしました。退職希望日は○月○日です。
必要な手続きについてご指示いただけますでしょうか。」
など、意思と日付を明確にしましょう。
電話の場合は、後から内容を確認できるよう、
可能であればメールなどでも確認を残しておくと安心です。
退職を口頭で伝えるときのチェックリスト
退職を伝える前に、次の項目を確認しておきましょう。
□就業規則を確認した
□雇用契約が無期か有期か確認した
□転職先の入社時期を確認した
□退職希望日を決めた
□引き継ぎ期間を考えた
□有給休暇の残日数を確認した
□直属の上司に伝える準備をした
□退職理由を簡潔に説明できるようにした
□退職届の提出方法を確認した
「退職の意思は口頭でも効力があるか」に関するよくある質問(Q&A):
Q1.退職の意思は口頭でも効力がありますか?
A1.口頭でも効力が認められる場合があります。
退職の意思表示は、法律上必ず書面で行わなければならないわけではありません。
ただし、合意退職なのか辞職なのか、雇用契約が無期なのか有期なのか、
就業規則にどのような定めがあるのかなどによって扱いが変わります。
Q2.上司に「退職します」と言えば会社の承認はいりませんか?
A2.退職の方法によって異なります。
会社と話し合って退職する場合は、会社との合意が必要です。
一方、正社員のように契約期間が決まっていない働き方の場合は、
本人が退職の意思を伝えることで辞職できます。
この場合、民法627条により、原則として退職を申し出てから
2週間が経過すると雇用契約が終了します。
つまり、「会社の承認がないと絶対に退職できない」というわけではありません。
Q3.口頭で退職を伝えたら退職届はいらない?
A3.会社のルールに従って提出することをおすすめします。
退職届が必要とされている会社では、口頭で伝えた後に提出しましょう。
Q4.会社が「退職を認めない」と言ったら辞められませんか?
A4.無期労働契約では、会社が認めないことだけを理由に、
いつまでも退職できないわけではありません。
民法627条では、期間の定めのない雇用契約について、
原則として退職の申入れから2週間で契約が終了するとされています。
Q5.転職先が決まったら、いつ退職を言うべき?
A5. 転職先の入社日と現在の会社の就業規則を確認し、
できるだけ余裕を持って伝えましょう。
法律上の期間だけでなく、引き継ぎや有給休暇なども考慮することが重要です。
Q6.退職理由は「転職するから」でいい?
A6.必ずしも転職先の詳細まで説明する必要はありません。
「新しい環境で経験を生かしたい」など、
前向きな理由を簡潔に話すだけでもよいでしょう。
Q7.一度口頭で退職を伝えたら撤回できますか?
A7.簡単には撤回できないため、慎重に伝えましょう。
退職を「会社と相談して決めたい」という意味で話した場合は、
会社が承認する前なら撤回できる場合があります。
一方、「○月○日で退職します」と明確に伝えた場合は、
辞職の意思表示と判断され、撤回が難しくなることがあります。
つまり、「口頭で伝えただけだから、いつでも取り消せる」
とは考えないほうが安全です。
退職するか迷っている段階なら、いきなり「退職します」と伝えるのではなく、
まずは「退職について相談したい」と話す方法もあります。
まとめ:口頭による退職は効力があっても記録を残そう
退職の意思表示は、必ず書面でなければ効力がないわけではありません。
期間の定めのない雇用契約では、本人の真意に基づく退職の意思表示であれば、
口頭でも効力が認められる場合があります。
ただし、退職には「合意退職」と「辞職」があり、法的な扱いが異なります。
また、雇用契約の種類や就業規則によっても注意点が変わります。
そのため、円満退職を目指すなら、
就業規則を確認する→直属の上司に退職意思を明確に伝える→
退職日・引き継ぎを調整する→退職届など必要書類を提出する→
転職先の入社日に合わせて退職する
という流れを意識しましょう。
特に人事担当者の実務では、退職時の「言った・言わない」を防ぎ、
退職日や引き継ぎを明確にすることが重要です。
「口頭で退職できるか」だけではなく、「どう伝えれば円満に退職できるか」
まで考えることが、転職をスムーズに進めるポイントです。
なお、この記事は一般的な情報を解説するもので、
個別の法律問題について判断するものではありません。
退職の効力や退職日の扱いについて会社とトラブルになっている場合は、
労働局や弁護士、社会保険労務士などの専門家への相談を検討してください。
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