【就活・転職】人事屋が教える障がい者の就職・転職対策
※本ページはプロモーションが含まれています。
以前と比較して現在では、障がい者が就職や転職をして、社会で働くことができる環境が整ってきました。
背景には日本の少子高齢化、人口減少問題があり、労働力の担い手として女性や高齢者などとともに障がい者が社会の第一線で働いてもらうことの期待感があるからです。
そのため国として障がい者の雇用を推進するための法律整備を行ってきました。
一方、日本の大手企業を中心にダイバーシティマネジメントを積極的に推進しようとしていることも追い風になっています。(ダイバーシティマネジメントは後述します。)
障がい者は就職や転職をして、積極的に社会に出て働くことが求められています。
それでは、障がい者が就職・転職するためにはどのようなことに留意したら良いのでしようか。
本ブログでは、人事屋である筆者が、障がい者の就職・転職について考える上でのさまざまなポイントをまとめてみました。
はじめは、障がい者の就職・転職を取り巻く環境を理解してもらいます。
続いて企業へ就職や転職の応募をするさいに事前に考えておくべきことや、面接を受けるにあたっての考慮点です。
障がい者の就職や転職活動の進め方も知っておく必要があります。
本ブログは、企業に就職や転職を考えている障がい者に向けた記事です。障がい者の方に少しでもお役に立てることができれば幸いです。
障がい者の就職・転職を取り巻く環境
イントロにも書きましたが、障がい者が働く環境はかってと比べて大きく変わってきています。
ここでは、障がい者雇用に関する法律と、企業にとって障がい者を雇用するメリット、特例子会社について紹介します。
- 障がい者雇用に関する法律
障がい者雇用に関する法律として、障害者雇用促進法が定められています。
障害者雇用促進法は「障害者の雇用促進」「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会および待遇の確保」「職業生活において自立」に関する施策を総合的に講じ、障害者の職業安定を図ることを目的としています。
- このうち、障がい者の雇用促進について、次の雇用義務制度があります。
障がい者の雇用を義務化しており、法定雇用率(従業員数に対する障がい者の割合)は、令和6年度では2.5%と決められています。さらに、令和8年度には2.7%と引き上げられます。
企業が上記の法定雇用率を達成できない場合は、不足人数1人当たり毎月5万円を納付しなければなりません。(常用労働者数100人を超える事業主)
一方で、法定雇用率を上回って雇用する場合は、障がい者用の設備や環境を整備するためにかかる費用もあり、超えた人数1人当たり毎月2.7万円が支給されます。(常用労働者数100人を超える事業主)
障がい者を雇用していない企業はお金を納付するかたちで、障がい者雇用を支えています。
ちなみに厚生労働省が発表した「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業に雇用されている障がい者の数は64万2,178人で前年より4.6%増加し、過去最高を記録しています。
- 障がい者本人に対する措置として、職業リハビリテーションの実施も定められています。
ハローワークでは、就職や転職を希望する障がい者の求職登録を行い、専門職員や職業相談員が障がいの種類や程度に応じたきめ細かな職業相談、紹介、職業定着指導などを行っています。
地域障害者職業センターでは、障がい者に対して就職や転職のための職業評価、職業指導、職業準備訓練、職場準備訓練、職場適応援助等の専門的なリハビリテーションと、事業主に対する雇用管理に関する助言等を行っています。
全国47都道府県に設置されています。
障がい者就業・生活支援センターでは、障がい者の就業面と生活面の相談、支援を行っています。2024年4月現在全国に337センターがあります。
- このうち、障がい者の雇用促進について、次の雇用義務制度があります。
- 企業にとって障がい者を雇用するメリット
最近、大企業を中心にダイバーシティマネジメントを標ぼうする企業が増えてきました。
ダイバーシティとは、多様性という意味の英語(diversity)で、自分の意思で変えることができない生来のものや自分の意思で変えることが困難な属性を意味しており、人種、性別、年齢、性的傾向などと共に、障がいも含まれます。
ダイバーシティマネジメントとは、様々な人材を登用し、多様な働き方を受容していこうという考え方のことです。
多様な人材が実力を最大限発揮することができ、正当な評価を受けることができる企業風土の構築を目指すことで、経営環境の変化に対応できる、柔軟で強い組織をつくることを目的としています。
ですから、大企業は就職や転職を希望する障がい者を雇用するという社会的責任を果たすとともに、ダイバーシティマネジメントを推進するためにも障がい者の採用を積極的に行っています。
このようなダイバーシティの対応に積極的な企業で、ある大企業が「誰もがいきいきと働くことができる職場づくり」に向けた取り組みの一つとして、就職・転職を希望する障がい者の雇用促進に取り組んでいます。
障がいのある社員に対しては職場の貴重な人材として成長を期待していることを表明しています。
そして、障がい者に対しては、「本気で期待する」「必要な配慮はするが特別扱いはしない」「一生懸命働きたい情熱のある社員を積極的に応援する」と約束しています。
このような企業も増えてきています。
- 特例子会社という会社がある
特例子会社と呼ばれる会社があります。
就職・転職を希望する障がい者の雇用の促進と安定を図るために設立された会社のことであり、一般的な企業と比べると、障害や特性に対するサポート環境が整っており、比較的障害の程度に関係なく働くことが可能となっています。
特例子会社に認定されるためにはいくつかの条件があります。
この中で特に障害者(障害者手帳を持っている社員)が5人以上いて、全従業員に占める割合が20%以上でかつ、障がい者のうち、重度の身体障害、知的障害、精神障害のある人の占める割合が30%以上あることが定められています。
特例子会社の障がい者は、親会社の法定雇用率に含めることが認められているため、主に大企業が特例子会社をつくることが多いです。
障がい者にとって、一緒に働く仲間に同じ障がい者が多くいれば心強いし、働きやすい環境にあるといえます。
障がい者の就職・転職活動で事前に考えておくべきこと
ここでは、障がい者が就職や転職活動を行うさい、事前に考えておくべきことをまとめてみました。
- 障がい者採用と一般採用のどちらを選ぶか
障がい者が就職や転職の活動をする場合、 障がい者採用と一般採用という2つのルートがあります。
企業は採用活動を行う場合、新卒採用、中途採用という一般採用と並んで、障がい者採用を専門に行っています。
障がい者は一人ひとりにそれぞれの事情があり、個別に面接を行うほうが適しているとの判断から、別枠で募集しています。
障がい者が、障がい者採用で応募するか、一般採用で応募するかは、各自の自由ですが、それぞれのメリット、デメリットがあります。
障がい者採用で応募の場合のメリットは、①企業から障がいを前提としての採否の判断をしてもらえる、②個別対応をしてもらえる、③入社後の仕事のミスマッチが少ないことなどがあげられます。
デメリットとしては、①雇用形態や職種が限定する、②給与面で健常者と比較して少ない、などがあります。
この場合、障がい者とのことだけで給与などで差をつけることは障害者雇用促進法により禁止されていますが、仕事量や責任の程度などによる違いは認められています。
一方、一般採用で応募の場合のメリットは、①自分の希望する職種を選ぶことができる、②採用となれば待遇面で他の応募者と同等である、などがあげられます。
デメリットとしては、①採用のハードルが高い、②入社後に適切な対応をしてもらえない可能性がある、などがあります。
就職・転職希望者について、いずれの採用を選ぶかは検討の上決めてください。
- やりたい仕事を考える
障がい者が就職・転職するにあたっては、あらかじめ自分ができる「どのような仕事をやりたいか」を考えてください。
それは「どのような人生を送りたいか」につながる問いです。
もちろん自分のできることが前提ですが、仮にやりたい仕事をこなすために足りないものがあれば、それをいかに補えば良いか考えましょう。
知識・スキルの保有度や、障がいとの兼ね合いなど検討してみてください。
そしてやりたい仕事をやれる自信がついたら、そのような求人を探せばよいのです。
このような事前準備をしないで何となく求人を探しても、応募先を決めることはできません。
採用されたとしても、こんなはずではなかったと退職することにもなってしまいます。
ですから、ぜひともやりたい仕事は何か、就職や転職活動の前に考えてみてください。
面接を受けるにあたっての考慮点
就職や転職を希望する会社に応募すると、どのような会社でも必ず面接を行います。
ここでは、障がい者が面接を受けるにあたって考慮することを説明します。
- 障がい者を面接する採用担当者の不安を理解する
企業は、障がい者のことについて、わかっているようでわかっていないことをまずは知ってください。
ひとくちに障がいといっても、身体障がい、知的障がい、精神障がいと様々であり、これまでに障がい者を雇用している企業の採用担当者でさえも、わからないことがたくさんあります。
例えば、社内にふさわしい仕事があるか、どのように安全配慮をしたら良いのか、そもそも応募者の能力を見極められるだろうかなど、わからないことだらけです。
企業は障がい者のことを理解してくれていると思っていると間違えます。
障がい者は、このような会社側の不安に対して就職や転職の面接では適切に答えることで採用担当者も安心し、入社後にスムーズに働くことが可能となります。
- 面接では、応募先にぜひとも入社したいという熱意を示す
親や、知り合いから勧められたからしかたなく応募しましたでは、採用してくれません。
面接官は、応募者がどれくらい入社の熱意を持っているか見ています。
「入社したい」と繰り返し話す必要はありませんが、面接での会話の中で熱意が伝わる話し方や内容としましょう。
もちろん話すことが得意でない人もいます。手話での面接もあると思います。
就職や転職の面接では、上手に話す必要はありません。自分が言いたいことをたどたどしくても良いのでしっかりと伝えるようにしてください。
そうすれば熱意は自然と伝わるものです。
- 障がいに関する質問にわかりやすく答えられるように準備する
障がい者が就職や転職の面接を受けるとき必ず聞かれることは、以下のような障がいに関することです。
- どのような障がいなのか
- どのようなことをするときに苦労するのか
- 一人でできることは何か
- どのようなサポートが必要か
一般的に障がい者が応募するときには、障がい者手帳のコピーの提出を求められますから、会社はわかっているだろうと考えていると間違えます。
障がい名は手帳に書いてありますが、このような知識のない人には理解することが非常に難しいものです。
ですから、以上の質問に対してわかりやすく答えられるように準備してください。
また、障がい者の採用に慣れていない面接官は、以上のような質問が考えられないこともあります。そのような場合には自分から話すようにしてください。
自分から話さないと、面接官は質問したこと以外は問題ないと考えて、入社後に思わぬトラブルが生じることがあります。
- 自己PRできるようにする
自己PRとは、「自分はこのような優れているところがあるので、採用したら必ず役に立ちます」ということを履歴書や職務経歴書といった応募書類や面接の場で会社にアピールすることです。
自分の強みを考えてみてください。他人より特別優れていなくても大丈夫です。その強みが、入社したら会社に貢献できることが大切です。
もし、長所が良くわからなかったら、家族や知人に聞いてみてください。必ず強みが見つかります。
一方で、面接官から、障がいに関して「○○はできますか」といった質問も多くなされます。
このような質問に「できません」と言うとマイナス評価をされてしまうのではないかと不安になり、できないことも「できます」と答えたい気持ちはわかりますが、できないことはできないと正確に答えることが肝心です。
さもないと、入社後に問題になってしまうことにもつながりかねません。
採用されたら気持ちよく働くためにも、就職や転職の面接では自分を正確に理解してもらいましょう。
- なぜその会社に入社したいのか答えられるようにする
就職や転職の面接では、「うちの会社に入りたい理由は何ですか」といった質問がかならずなされます。
こうした質問に答えられるように準備してください。
企業のホームページをよく読んでその会社の雰囲気をつかんでください。事業内容、経営理念、経営の方向性などが載っています。
ダイバーシティ(多様性)についての考え方を載せている企業もあります。
あるいは、応募先企業に知り合いが勤めていれば評判を聞くなりして情報の収集に努めてください。
そうした企業の雰囲気を知り、自分が力を発揮できる理由が志望理由になります。
- 入社したらやってみたい仕事を伝える
一般的に新卒採用の場合は、採用となった段階で本人の能力・スキルや、障がいの内容によって仕事を決めるようになると思います。
(新卒採用でもあらかじめ職種別に募集する会社もあります。)
この場合面接で「どのような職種を希望して、そこでやりたい仕事は何か」との質問がなされます。
また、中途採用の場合は、職種を決めて募集していますのでその職種のなかで、「やりたい仕事は何か」を聞かれます。
ですから、「自分としては○○の職種でこのような仕事をやってみたい」と伝えられるようにしましょう。
この場合、なぜその仕事をやりたいのかをきちんと説明できなくてはいけません。
就職・転職の面接では、あわせてやりたい仕事で活かせる能力やスキル、経験などがあればそれを伝え、同時に企業にサポートをお願いすることがあればそれについても伝えてください。
- 転職の応募者は退職理由を面接官が納得できるように伝える
中途採用の応募者は、面接において必ず前職の退職理由(転職理由)を聞かれます。
退職理由はさまざまでしょうが、正直に伝えましょう。
ステップアップのためといった前向きの退職理由は答えやすいでしょうが、問題は障がいに対する会社の理解不足とか、職場での上司や同僚との人間関係などが原因で辞めた場合です。
このような後ろ向きの退職理由でも正直に伝えたほうが良いと思います。
人間関係は一方的に本人に原因があるわけではありませんが、双方のコミュニケーション不足も原因の一つです。
退職理由を正直に伝えるとともに、自分の反省点も含め、入社したら長く勤めることを言いきってください。
間違っても、退職した会社や、上司・同僚の悪口は言わないでください。面接官からの印象が良くありません。
就職・転職活動の進め方
就職や転職のための活動にはいろいろな進め方があります。ここでは、それらの進め方について紹介します。
- ハローワークで求人を探す
ハローワークには障がい者担当窓口があり、求職の申し込みをすれば就職・転職の相談や求職活動をすることができます。
また、ハローワークインターネットサービスを利用すれば、自宅のパソコンやスマホからでも全国の求人を探すこともできますので便利です。
しかし、求人票に開示されている情報だけではその企業の仕事内容がわかりにくいため、興味のある企業を見つけたらハローワークの障がい者担当窓口で相談することが良いと思います。
一方、ハローワーク主催で定期的に障がい者就職相談会も開催されていますので、相談会に参加する企業の担当者と直接会話して、仕事の内容などを確認することもできます。
- 興味のある企業のホームページをチェックする
ホームページの採用サイトで新卒採用、中途採用と並んで障がい者採用を明記している企業もあります。
このような企業には、直接応募することができます。
興味のある企業があればチェックしてみたらどうでしょうか。
- 就職・転職サイトを利用する
障がい者専門の就職や転職サイトもあります。ハローワークの求人票は文字だけですが、就職や転職サイトは、会社や働く人の写真が掲載されていたりして、働くイメージがよりつかみやすいものとなっています。
一方で、就職や転職のサイトは、企業より掲載料をもらって運営しており、「良いこと」の情報に偏っていることにも留意してください。
- 民間の職業紹介サービスを利用する
民間の職業紹介サービスを利用するやり方もあります。
この場合は、自分の情報を登録して担当者と面談し、仕事の希望などを伝えて希望に合った求人を紹介してもらいます。
求人情報のほとんどは非公開求人であり、効率的に就職や転職の活動を進めるためには有効な方法といえます。
ここでは、障がい者の就職・転職専業の職業紹介サービスを2社紹介します。
興味のある方は各社のリンクから登録してサービスを体感してみてください。
■パーソルダイバース
(株)パーソルダイバースが運営する「dodaチャレンジ」は、dodaブランドの中の障がい者向けに特化した屈指の転職支援サービスです。大手の安心感があります。
大手・優良、外資系、ニッチトップ企業まで幅広い非公開求人のラインナップが用意されており、転職実績も豊富です。
障害者手帳をお持ちで就職・転職をお考えの方がサービスを受けることができます。
障がいに合わせた専任のキャリアアドバイザーによるカウンセリング(面談)により、一人ひとりの状況に合わせて書類作成から面接まで転職活動をサポートしてもらえます。
カウンセリングは東京、大阪、名古屋での実施となります。それ以外の地域の場合は、電話・チャット・TV電話で対応してもらえます。
以下のリンクより「dodaチャレンジ」のサイトへお進みください。
■ゼネラルパートナーズ
(株)ゼネラルパートナーズが運営する「アットGP」は、障害者雇用のパイオニアとして、20年に渡り障害者の就職・転職をサポートしています。
一般には公開されていない優良企業の求人を多数持っており、専業だから分かる配慮や勤務時間・職務の調整等の、独自ノウハウが特徴です。
障がい者手帳をお持ちで転職をお考えの方がサービスを受けることができます。
カウンセリングは東京、大阪、名古屋での実施となります。
はじめての転職でも、専任のコンサルタントがついて、書類の書き方から面接の仕方まで全力でサポートしてもらえます。
以下のリンクより「アットGP」のサイトへお進みください。
まとめ
障がい者が働く環境は、障がい者雇用に関する法律の整備や、企業のダイバーシティ重視、特例子会社の活用などでかつてと比べて大きく変わってきています。
障がい者が就職や転職活動を行うさい事前に考えておくことは、障がい者採用と一般採用のどちらを選ぶか、及びやりたい仕事を考えることです。
面接を受けるにあたっての考慮点として、以下の点があげられます。
- 障がい者を面接する採用担当者の不安を理解する
- 面接では、応募先にぜひとも入社したいという熱意を示す
- 障がいに関する質問にわかりやすく答えられるように準備する
- 自己PRできるようにする
- なぜその会社に入社したいのか答えられるようにする
- 入社したらやってみたい仕事を伝える
- 転職の応募者は退職理由を面接官が納得できるように伝える
就職・転職活動は、ハローワークの利用、企業のホームページをチェック、就職・転職サイトの利用、民間の職業紹介サービスの利用など様々なやり方があります。
障がい者が就職・転職を考える上で、以上についてぜひとも知っておいてください。